『アルプスの若大将』を観ました。
昨日公開されたド最新作の直後に、1966年=約60年前の作品について語っちゃうのが当ブログです(笑)。
京南大学の建築家を専攻する雄一は、学会に出席する教授の付き添いとしてヨーロッパに来ていた。金に物を言わせて強引に付いて来た石山も一緒だ。
スイス、オーストリア、イタリアを周る中、雄一はパンアメリカン航空に勤める澄子と出会い、ローマ観光を楽しむうちに二人はいい雰囲気に。
帰国した雄一は日本に異動された澄子との再会を喜ぶものの、石山を頼って来日したフランスの女性リシェンヌの世話を頼まれてしまう。毛唐を嫌う父に反対されながらも、リシェンヌを自宅で寝泊まりさせる羽目に陥る。
大学に戻った雄一は、キャプテンを務めるスキー部の合宿に向かう。これを知った澄子は、石山と共に合宿先の苗場に向かい……といったお話。
シリーズ第7作です。
大筋のストーリーは大同小異、別名ワンパターンなので、これまでのシリーズをひっくり返すような事件は起きません(笑)。逆を言えば、安心していつもの雰囲気を楽しめるという事でもあるんですがね。
特筆すべきは『ハワイの若大将』に続く海外ロケの敢行で、人気作のおかげか、割とお金が掛かっている事が伺えます。俺ッチでも知ってるプロのスキーヤー、トニー・ザイラーさんまで出演しているのは驚きですね。『黒い稲妻』、また観たい…。
脚本はシリーズ全作を担当した田波靖男さん……でありながら、今作はいつもと違う雰囲気が漂うんですよね。
それが顕著なのが澄子で、学生の雄一とは違い澄子は既に働いている事から、澄子の方が年上というイメージがあります。
が、今作の澄子はいつも以上に年上感が強く、雄一や石山との接し方も少々ドライな感じなので、いつものごとく親しみを込めて“澄ちゃん”と呼びにくいオーラが出てる感じ(石山は構わず呼んでいますが)。
今作はパンアメリカン航空という、これまでの澄子の職歴(?)の中でもかなり大きな会社ですから、キャリアウーマン感を出そうとしたのかな?
それにしても、若大将ワールドに飲まれて看過しがちですが、澄子ってかなり残酷な女ですよね。
雄一を追いかけるために、どれだけ青大将を使い走り扱いした事か(笑)。令和の今であれば敵が多そうだな~…。
雄一と久太郎の親子喧嘩もこじんまりとなったのもしっくり来ませんね。お得意の勘当もないし(笑)。
海外旅行から帰宅した雄一を開口一番に嫌味で迎えるのかと思いきや、全く逆で超ウェルカム。よっぽど前作で実家のお店=田能久を救ってくれたのがありがたかったのかもしれませんね(それどころか増床&改築でずいぶん豪華になってる…)。
雄一の家=田沼家のシーンも若大将ワールドには欠かせない要素。
中でも、りき=お婆ちゃんを演じる飯田蝶子さんの軽妙な芝居が面白いんですよ。感性は若者と同等というノリのいいお婆ちゃん像が好きです。
この時代でも、ちゃんと”ダブルオーセブン”と呼んでいるのは感心するね。
毎度お馴染み、若大将=加山雄三さんの歌は定番を通り越して、なくてはならない要素になりました。
前作で澄ちゃんのために作った(笑)『君といつまでも』が今作でも歌われているのは異例です。あの人に向けて例のセリフを言わせるために取り入れたの?と(笑)。
聞けば、『君と~』のレコード売り上げは凄まじかったようで、ななんと300万枚を突破してたってんだから、娯楽が少なかった時代とは言え、これは驚異的な数字です(その割に、”歴代シングル売り上げ”といったワードで調べても掠りもしないのは何故?)。
まぁ、『君と~』も良いんだけど……やっぱ『蒼い星くず』だよな!
今作で若大将が挑むのはスキー。
海も山も問わない、相変わらずの加山さんのスポーツ万能ぶりにはただただ拍手。どんだけ引きの画であっても吹き替えは使ってないんだろうね、さすが!
大会の最終日、ライバル校のキャプテンが滑る時と同じように、若大将の時にもカットを割らずに空撮&長回しで見せて欲しかったなぁ。
***************
***************
***************