『マジンガーZ対デビルマン』を観ました。
世界征服を目論むDr.ヘルが差し向ける機械獣が光子力研究所を襲う。
甲児がマジンガーZに乗って機械獣を撃破した直後、有史以前に超能力を持ったデーモン族のシレーヌが復活する。シレーヌを追跡する明=デビルマンは、魔将軍ザンニンを初めとするデーモン族の妖獣軍団が復活、しかもDr.ヘルが彼らを配下に置いた事を知る。
シレーヌはマジンガーZの致命的な弱点を克服するジェットスクランダーの破壊に成功、Dr.ヘルはデーモン族と機械獣軍団を以て光子力研究所への総攻撃を開始する。
その戦いの中、甲児との友情が芽生えた明=デビルマンはDr.ヘルに捕らえられ……といったお話。
今でこそ別作品が同一の世界観を共有する、いわゆるクロスオーバーなるものが普及していますが、その始祖となるのが本作でしょう。
『マジンガーZ』と『デビルマン』という作品は、共に原作者が永井豪さんというだけで全く別のお話。しかもテレビアニメ版としては局の隔たりもあっただろうに、これらを一つの作品にしてしまうのは当時としても珍しい試みだったように思えます。
とは言え、両作が放送されていたのは70年前半。『デビルマン』の方は本作の公開前に放送は終了しており、アニメが見下されていたであろう当時は、終わったガキ向け番組なんかもう知ったこっちゃないという気風の下、今ほどは権利回りの問題もなく製作できた時代だったのかもしれません。
お話としては『デビルマン』が『マジンガーZ』の世界にお邪魔するような感じです。
それ故、敵も味方もマジンガー住人の方がパワーバランスが上。漫画版を知っていればデビルマン側の方が圧倒的に上である事は分かっていても、それを口に出さないのが大人のマナーです(笑)。
アニメとは言え、一般的な映画も顔負けなのが画角の使い方。
左右の両端ギリギリに被写体を配して、横長のワイドスクリーン=シネスコサイズをフルに利用する画作りが巧みなんですよ。実写として同じ事をやるとわざとらしく見えそうなので、アニメだから許される表現なのかもしれません。
作画レベルもTV版より遥かに高く、まさに大画面で観るに相応しい、キチンと映画を意識して作られているのが良いですね。
43分という尺もちょうどいい。
主役はマジンガーZとデビルマンですが、本来のそれらは兜甲児と不動明です。
手段は違えど志を同じくするヒーローたちを描いているんですが、ちょっと事務的なんだよね。友情と呼ぶにはもう一歩たりないというか。
身の上を明かし、それを話すからには明も甲児に対してある程度は腹を割っているんだから、もうちょっとこう、せめてお互いの呼び方から歩み寄りましょうよと。
ラストでは“明くん”や“甲児”と呼び合って別れるとかやってくれたら、感泣間違いなしだったろうに…。
音楽面においても激アツです。
マジンガーZと言えば♪そぉらに〜そびえる〜、くろがねのっしろ〜♪が有名ですが、これを使わないという意外性。
オープニング曲代わりに『Zのテーマ』から始まるんだから、のっけから掴みはオーケーってモンですよ。
そしてクライマックス、ピンチからの大逆転の際に流れる『マジンガーわがマシン』の曲調も相まってカタルシス全開!
先にも述べたように『マジンガーZ』の世界がメインのお話ながら、『デビルマン』の主題歌のみならず、劇伴までをも使っているんだから心浮き立つ演出ですね。
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Blu-ray版は『マジンガーZ対暗黒大将軍』『グレートマジンガー対ゲッターロボ』も収録しているので、お買い得の部類に入る商品だと思います。