観終えた、『ヤヌスの鏡』 | Joon's blog

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『ヤヌスの鏡』を観終えました。もち、令和版よ。

当初はネット配信オンリーだったけど、深夜ながらも地上波で放送するとの事でありがたいね。

オリジナル版と比較されてしまうのはリメイク版の宿命。
そして、やるからにはオリジナル版と比肩するものを作ろうとするのみならず、あれこれ言われてしまう覚悟も必要です。
本作は(配信)開始前はそこそこ話題になってましたが、いざ始まってみると、それどころか最終回を迎えても話題に上ってるのを(あまり)見ません。その手の掲示板を探せばあるんでしょうが。
実際に最終回まで観終えると、その理由がうっすら理解できるような気がします。

これは本作のみならず、いわゆる大映ドラマ全般に言える事ですが、あり得ない事を大真面目にやる点が魅力の一つに挙げられます。
オリジナル版の場合はその極みとも言うべき作品で、裕美⇔ユミへの変貌がその代表格であり、現実にはあり得ない事を、さも現実にもあるかのように見せるという世界観が魅力です。
そういう、フィクションとしてあってもいいバカバカしさが足りないのが、今作が盛り上がらない要因ではないかと思います。
近年は実写だからリアル=現実味ばかりを気にしすぎるせいで、荒唐無稽が生み出すカタルシスを失っている作品が増えてるんじゃないかな。

リメイクとは、オリジナル版の全てを再現すれば良いってものでもありません(個人的には“原作に忠実”という言葉もつまらなく感じる)。
オリジナル版だって作りが甘い箇所は多々あるんだから、削ったり盛ったりする事はあってもいい。
けど、本作の場合は削りの要素が多すぎます。
レギュラーキャラの頭数も激減している上に(大キーパーソンの堤先生すらいないとは!)、枠は30分、しかもたった8話(!)で終わってしまうんだから、劇場版を分割してんのかよと思わせるくらい。
総じて、最大にして最悪の削り要素はコストなんでしょうかねぇ? 画的にもスッゲー安上がりに見えるし。

キャスティングに関しては、そこまで不満は感じなかったんですがね。
裕美&ユミを演じる桜井日奈子さんの作品は初めて観たんですが(『ママレード・ボーイ』は観に行きたかった…)、裕美⇔ユミのスイッチ切り替えは良かったと思います。ギャップがありすぎるくらいがちょうどいい役ですからね。
特に裕美モード時の、初江(←婆さんね)に叱咤どころかDVされるシーンとか、まるで小動物が虐げられてるようで助けに入りたいくらいですよ(笑)。
そんな裕美に厳しく当たる初江を演じるのは国生さゆりさん。
リメイクが決まった際、2番目に気になったキャストは初江役で、オリジナル版で同役を演じていた初井言榮さんのあの強烈な存在感に近付ける人がいるのか?という懸念を抱きましたが、初井さんとは異なるおっかなさが出ていて、絶妙なキャスティングに思えました。
特に、怒鳴るシーンでの声量は圧巻! その場にいたら震度0.5くらいの地響きでも感じられそうなくらい(笑)。
その他のキャストに関しては……正直、可もなく不可もなく(塩野瑛久くんは贔屓にしたいですが…)。
先に述べたように、安上がりに仕上げようという魂胆が見え隠れするので、若めの俳優がキャリアを積むための作品と解釈してもいいかもしれません。

たった8話と知った時点で、昨今お得意のシーズン2作戦に走るかと思いきや、キチンと完結させた点は感心します。
堤先生がいない時点で最終的なオチが変更されるのは予想できましたが、これもまた昨今流行りの風潮と言いますか、真の結末はあなた次第ってヤツですね。
最近は最終回のオチが曖昧な描き方だと、“史上最低の終わり方”とか言っちゃう奴もいるらしいけど、なら本作は史上最低を更新するのかな(笑)?