『LIFE』は1994年8月に発売された、小沢健二の2枚目のアルバムです。近年再評価されている小沢健二の代表作です。

僕と小沢健二(通常オザケン)の出会いは2014年、テレビ番組「笑っていいとも」を学校をサボって見ていた時に、テレフォンショッキングのゲストとして彼が出演し、生歌を披露したのを偶然見たことから始まります。(海外に生活の拠点を移していた小沢健二のテレビ出演は16年ぶり)

その中でタモリさんがオザケンとの会話の中で、「俺はミュージック・ステーションを二十何年もやってるけど、曲を聴いていいな〜と思うのは小沢くんの曲だけなんだよね」というような発言をしたことをよく覚えています。タモリさんに全幅の信頼を置く僕は、翌日に板橋駅前のTSUTAYAへ行き、この『LIFE』を借りました。

初めて聞いたときの感想としては、ナヨナヨしていて、その上キザな印象で、あまり気に入りませんでした。iPhoneにデータを取り込んでからしばらくは聞いていなかったのですが、しばらく聞いているうちにハマり、現在では大好きな歌手となりました。
『LIFE』に収録されている曲全てが、語り尽くせないほど大好きなのですが、以下では何故好きなのか理屈で説明できそうなものをいくつか選んで紹介したいと思います。


1曲目「愛し愛されて生きるのさ」
この曲は 

<いつだって可笑しいほど
誰もが誰か 愛し愛されて生きるのさ>

というサビのフレーズが繰り返されることが印象的な曲なのですが、僕はこの <愛し愛されて生きるのさ>の語尾の【さ】が、非常に重大な役割を果たしていると思っています。

<愛し愛されて生きる>という一見、ありがちで少し重たい印象を受けるフレーズの語尾を【さ】という一文字で締めることによって、聞き手は軽快さを感じられます。

<愛し愛されて生きるのだ> や、<愛し愛されて生きるのです> 、<愛し愛されて生きるよ>  など、他のどの言葉でも、あの軽快さを感じることはできません。小沢健二はそんな効果を意図して【さ】を語尾に使ったに違いないと、僕は勝手に確信しています。





5曲目「ドアをノックするのは誰だ?」
恋人がいる男のことを歌った曲ですが、歌詞だけを見ると、あまりにも浮かれすぎていて少し痛々しく感じるほどです。しかし、彼のメロディーに乗ると聞いていて心地良くなる不思議な曲です。
要所要所で韻を踏んでいるので曲にリズム感が出るので、歌詞の内容に反して曲自体がくどくならずに聞くことができます。



また、このアルバムには3曲も歌詞の中に「東京タワー」が登場します。
「東京タワーから続いてく道」や「東京タワーへ出掛けるついでに」、「東京タワーを過ぎる急カーブを曲がり」といったように、東京タワーそのものに着目しているというよりも、東京タワーは添え物として登場している印象を受けます。
小沢健二の歌詞の中の東京タワーは、都会の象徴や、日常を切り取った象徴として意図的に登場させているのではないかと思いました。

6月のライブのチケットが当たったのでその辺りにも注目して曲を聴きたいと思います。