- マーケティング・インタビュー 問題解決のヒントを「聞き出す」技術/上野 啓子
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企業において、お客様やこれからお客様になってくれる可能性のある方の話はとても貴重です。当社のような通信販売を行い、直接お客様に販売している立場ですと、注文時やお問合せが入ったとき、もしくはクレーム対応時などにお客様のお声を頂戴することもありますが、直接販売をしていない場合はなかなかそうした場面は少ないかと思います。
直接販売をしていても、なかなか顔をあわせてお話しをするという機会は少なく、グループ・インタビューと称されるお客様を集めてお話しをお伺いする機会を作るということもとても重要なことです。
この本はそうしたグループインタビュー時の心得や進め方について詳しく語られていて、失敗しないためのグループインタビューといいますか、事例を多く盛り込みながら説明されていて、とても読みやすく、ためになりますね。
個人個人の意見を的確に導き出すというのは難しく、一般論にまとまってしまったり、最大公約数的におちついてしまったりしがちですが、著者はそうなることは絶対に避けなければいけないと、そうならないための尋ね方、段取りについて説明しています。
例えば、消費行動に違いがある人の意見を同時に聞くことは避けるようにする、グループの人数は6~8人が最適で、8人の場合は1~2名の欠席者を見込んでいて6名をベストと考える、など非常に具体的です。
個人の意見を掘り下げていくことで、見えてくるものがあり、インタビュアーはその点を意識して、長い質問や、誘導尋問をしてはいけないとあります。
インタビュー対象者がある商品に対しての印象を「シンプル」と答えた場合、インタビュアーは「シンプルってことは派手ではないっていうこと?」など自ら言葉の意味を規定していまうようなことを言うのではなく、「シンプル?例えばどういうこと?」というように、インタビュー対象者自身がその言葉を説明するような場面をつくらなくてはいけないとあります。これには「なるほど」と思わずうなづいてしまいました。
グループインタビューなどない、という人でも、何かの会合に出たり、商談をしたり、というとき、相手から答えを引き出さないといけないという場面は出てくると思います。その時に以外とこうしたインタビュー技法というのは役に立つのではないかな、と思います。何事も知識として溜め込むだけでは宝の持ち腐れになるので、そうした場面でも試してみる価値はあるかな、と思いますね。