『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ

 

 

ショーン・コネリーが亡くなった時に、何か彼に関する本を読もう!と思い、彼が主演で映画化されてるこの本を読み始めました。

 
「このミステリーがすごい!30周年記念企画海外編1位」と帯にあるし、手元にある本は43版だから人気もあるはずなのに、何故か文庫がないので持ち歩けませんえーん
 
おまけに、覚悟してましたが、結構難しい!
著者はイタリアの、記号論の学者さんだそうです(そもそも、記号論って何?)。
学者が書いた、というところと、作品全体の古めかしい雰囲気とかが『指輪物語』を思い出させます。
あれも映画の『ロード・オブ・ザ・リング』がなければ読み通せませんでした…ピーター・ジャクソン監督、有難う照れ
 
でも、挫折率の高い私が、不思議と読むのをやめようという気にはなりませんでした。一気に読めるほど易しくはないけれど、ちょっとずつでも読み進んでみよう、という面白さが十分にあります。
 
 
14世紀、北イタリアの修道院で起きた連続殺人事件を、ウィリアムとアドソの二人が調査します。事件の背景には、修道院の文書館と、1冊の秘密の本があるらしい、とわかってきますが…。
 
ウィリアムはイギリス出身の修道士。「バスカヴィルのウィリアム」と呼ばれています。直接のモデルはオッカムのウィリアムのようですが、シャーロック・ホームズ好きなら当然、『バスカヴィル家の犬』を連想しますよねーラブ
期待どおり、ウィリアムはホームズばりの推理を披露してくれます。
もちろんアドソはワトソン役。ドイツ出身、見習い修道士の少年です。
 
修道士の祈りの生活、修道院の聖堂や羊皮紙でできた書物など、中世ヨーロッパの雰囲気に満ちていて、歴史物が好きな人にはお勧めですニコニコ
 
暗号とか迷宮とか毒とか、ミステリーらしい仕掛けも盛り沢山です。怪しい人物のオンパレードで、犯人の予想は全くつきません。
…というか、ウィリアムとアドソだけが現代人にも理解できる考え方をしていて、他の人(修道士)はみんな、信心深過ぎて思考回路がよくわからない。なので全員怪しく見えます滝汗
最後の黒幕との対決の場面はスリル満点!結末はある意味ミステリーらしくないけど、これはこれでアリなのではないかと。
 
中世ならではの場面も多いです。
なかでも特に、異端審問官が修道士を審問する場面は怖かったですガーン
修道士は異端と殺人の疑いをかけられているのですが、どんな弁明をしても、その弁明自体が異端の証拠だとして異端審問官は全く聞く耳を持とうとしません。拷問するぞと脅し、恐怖で錯乱させて自白させます。
現代の目から見ると無茶苦茶なのに、本人達はそれが神の意思に沿うものだと思ってる。
自分は正しいと思い込むことが、どれだけ恐ろしく、醜いことなのかを思い知らされました。
 
登場人物みんなが、それぞれ神とか人間とか人生とかについて考えまくっているので、読んでるこちらも色々と考えさせられます。多分、全部は理解できていないのでしょうが、わかる部分だけでも十分読み応えがありました。
 
トマス・アクィナス、ロジャー・ベーコン、アリストテレスなど、歴史上の人物の名もたくさん。
聖書の引用も多いし、巻末の解説によると、『神曲』や『デカメロン』へのオマージュもあるそうです滝汗
著者の知識と教養が詰め込まれてるんですね…。
 
 
 
映画も見ましたが、凝縮されていてわかりやすい!
何よりウィリアム役のショーン・コネリーが渋くてかっこいいんですよーラブ(年取ってからの方が好きです)
時代考証もかなり頑張ってます。中世の不気味な雰囲気が出ててすごいびっくり枢機卿の派手な衣装から、衛生状態悪そうな当時の生活の様子まで、リアルに再現されてます。
 
修道士の恰好は、スターウォーズのジェダイの騎士のようです・・・というか、ジェダイが修道士のような服なんですよね。しかも、アドソがウィリアムを「マスター」と呼んでるのが更にジェダイ。悪の皇帝パルパティーンみたいな人まで出てきます。
 
ショーン・コネリーだし、歴史物だし、衣装はスターウォーズで、ホームズ成分もあり(「初歩だよ」というセリフがある!)という、私にとってはかなりおいしい映画でした照れ
 
 
 
なお、本書を読みながら思い出したのはこの作品。
 
『修道士ファルコ』青池保子

 

 

青池保子先生は『エロイカより愛をこめて』が有名ですが、歴史物も良いです!

『薔薇の名前』は14世紀の前半で、『修道士ファルコ』は同じ14世紀でも後半なので、時代としては少しだけずれていますが、こっちを先に読んでいたおかげで、トンスラ(修道士の髪形)とか聖遺物とかに戸惑わずにすみました。

 

こっちはコミカルな雰囲気の作品ですが、ミステリー仕立てのところとか、恍惚の人(認知症?)になった修道士が出てくるところとか、ちょっと共通してる部分もあるんですよー。

 

 

中世のキリスト教世界にどっぷり浸らせていただきましたニコニコ