◆前回のあらすじ◆

 

前回——初めての同伴。

 

待ち合わせで一輪のバラを渡し、若いお姫様のような私服のAに再会した。

 

 

 

 

【熱があっても来る女性】

 

 

 

 

Aとの同伴は、結局3回の予定が組まれた。

 

1回は普通に楽しく終わった。

 

1回は、Aは体調を崩していたのに、無理をして来てくれた。

 

そして1回は、ドタキャンだった。

 

どの順番だったか、実はもう正確に思い出せない。

 

記憶とはいい加減なものである。

 

ただ、覚えていることがある。

 

熱のある顔で現れたAを見た時、嬉しさより先に、申し訳なさが来たことだ。

 

私は、すぐ悪い方に考える男である。

 

ドタキャンをされれば、営業だったのか、他に客がいるのか、嫌われたのか、と際限なく考えて胃を痛める。

 

Aはたぶん、それを見抜いていた。

 

だから熱があっても来た。

 

休めばいいのに、来た。

 

それは愛情だったのか。

 

それとも「面倒な客」の機嫌の管理だったのか。

 

わからない。

 

わからないが、目の前で熱っぽい顔をして笑っている女性に、疑いの言葉を向けられる男がいるだろうか。

 

私は黙って、温かいものを注文した。

 

◆次回予告◆

 

第8話「サヨナラの衣装」——手書きのラブレター、Aが選んだ衣装、お土産のZoom Vomero 5。

 

三人分の祭りの夜。

 

この物語は全4部の実録エッセイです。

 

第1部・第2部は全話無料、クライマックスの第3部はnoteで公開しています。

 

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