夏らしい週末が終わった。
でも、成田さんのいない私の夏なんて
今年は存在しないも同然。
やっとこなした土曜、日曜。
また私達の夏休みが戻ってくる。
夕方には家についたけれど、
疲れ果てた頭と体で、寝たり起きたりの繰り返し。
とりあえず、成田さんに会いたかった。
だから帰ってきて、メールをしてくれること、ひたすら待っていた。
明日会いたい理由は、月曜日だから。
つまりは明後日が火曜日だから。
火曜日になる直前に会いたい。
それだけ。
9時過ぎに、帰りましたってメールをくれた成田さん、
明日は忙しいの?って聞いたら
明後日が朝早いって。ドジョウ採集だって。
なんだかよくわからないけれど・・・
Subject: Re:ドジョウ?
To: 成田
じゃあ明日あそべないね。
半ば怒り気味で。
でもそんな微妙な感情はメールで伝わるわけもないから。
From: 成田
Subject: Re:ドジョウ狩り
勝どき橋だって
ありえない位置から
届いたんだけどな
ありえないことの連続だから、
火曜日早いことなんてなんでもないと、そういうこと?
Subject: Re:
To: 成田
うん。そうだよね。
ありがとう。
From: 成田
Subject: Re:だから
いつでも全力で体当たりが基本です。
さちに体当たりするとね、甘くてとけるんだよ�T�P�P
嬉しい。
でも、ちょっと悔しい。
口ばっかりのくせに。とけたりなんかしないくせに。
ともかくは、消えてしまう火曜日の前に、あの人を独占できる数時間。
私はそれで充分機嫌がよくなった。
明日はちゃんと仕事をしよう。
ちゃきちゃき用事を片付けて、ちゃんと生活立て直していこう。
毎週毎週、日曜日の夜はそう思う。
私を、ちゃんと見つけないと。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
成田さんは、私に甘いものを食べさせるのが好きだ。
ホテルに行く時はいつもドーナツを買ってきてくれる。
ドーナツの、長方形の箱を開ける瞬間が好き。
私が甘いドーナツを食べて幸せな時、
好きな人がずっと見ててくれる時が好き。
「一番好きなのはエンゼルクリーム。」
甘いし、柔らかいから。
「オールドファッションやポンデリングは美味しいけど、
色気が無いよね。すきがない。」
そう言って、彼の口にクリームがいっぱいついたトコロ、入れてあげる。
「言いたいことは分かる。」
苦しそうな顔。そういう目で見たら若干セクシー。
口の端に白いクリーム、舌の先でなめてあげる。
成田さんはうつぶせになり、お茶を取る。
「なんでお茶飲むの?」
「甘いじゃん、口の中が。」
「ふーん。無駄だよ。」
飲み終わった成田さんの頬っぺたを押さえつけキス。
もう無茶苦茶にキス。
「甘い・・・」
苦しそうに囁く。
「だから言ったじゃん。」
不埒な時間。私は成田さんとHしたいのか。
それとも一緒にラブホでドーナツ食べたいのか?
両目で私を見るようになった成田さんは、
流された人の怯えた目をしなくなった。
戸惑いなく「大好き」って言ってくれる。優しく囁いてくれる。
でも、何かに獲りつかれたような顔をしている。
追い立てられるように「あいしてるよ」と言う。
私の話をあまり聞いてくれなくなった。
いつも上の空になってる。
私の挙動や表情や体を見て、上の空。
キスしたり、抱き合ったり、セックスする時間が増えた分、
色々なことをおしゃべりしたり、笑ったりする時間は減ってしまった。
明日が早い、って成田さんが言うから
1時過ぎにはホテルを出た。
私にしても、まだ適当な言い訳でごまかせる程度の時間。
でも、一緒にいた時間があまりに短くて、
帰り道は少し不機嫌だった。
どうしてもっと一緒にいられないんだろう?
そんな、ダメな理由のわかりきっているわがまま。
口に出したところでどうにもならない。
だから、少し怒ってた。
何かしゃべるのもだるかった。
いつもの川沿いの道まで送ってくれて、車が止まる。
「怒ってるの?さち」
不安そうに成田さんが言う。
私は笑って、「大丈夫だよ」と答えた。
でもその顔は完全に作り笑いだったかもしれない。
だからまだ不安に覆われた成田さんの顔を
両手でそっとはさんで軽くキスした。l
「さち、好きだよ」
囁く成田さんは
また、夢を見る人の顔。
私は頷くだけで車を降りた。
「じゃあね。」
走り出す車。ゆっくりと走って行く。
最後に見た顔が、少し躊躇しているように見えたから、
戻ってきてくれるような気がした。
戻ってきて何が起きるんだろう?
戻ってきて、
もっと一緒にいようと言ってくれても明日の朝がつらくなるだけだし。
戻ってきて、
愛してるよと言ってくれてももうそんなことは良く知ってるよと答えるだけ。
戻ってきて、
やっぱりもう会えないと言われたら、それもそれでありかと思う。
戻ってきて、
一生一緒にいようと言われたら私は満足?
両目で私を見てくれるようになったら成田さんは、優しくて、
私を精一杯愛してくれるけれど
何を考えているのかわからなくなった。
両目は愛しか語らない。それはそれで甘くて素敵だけれど、
どうしょうもなく不安になる。
私は、また自動販売機の横にしゃがみこむ。
戻ってきて
戻ってきて
どにもならなくても
悲しい知らせでも
なんでもかまわないから
戻ってきて
戻ってきて
戻ってきて
私は祈り続ける。
次へ
目次へ
NEWVELランキング←ランキングに参加しています。よろしければ押して下さい。

でも、成田さんのいない私の夏なんて
今年は存在しないも同然。
やっとこなした土曜、日曜。
また私達の夏休みが戻ってくる。
夕方には家についたけれど、
疲れ果てた頭と体で、寝たり起きたりの繰り返し。
とりあえず、成田さんに会いたかった。
だから帰ってきて、メールをしてくれること、ひたすら待っていた。
明日会いたい理由は、月曜日だから。
つまりは明後日が火曜日だから。
火曜日になる直前に会いたい。
それだけ。
9時過ぎに、帰りましたってメールをくれた成田さん、
明日は忙しいの?って聞いたら
明後日が朝早いって。ドジョウ採集だって。
なんだかよくわからないけれど・・・
Subject: Re:ドジョウ?
To: 成田
じゃあ明日あそべないね。
半ば怒り気味で。
でもそんな微妙な感情はメールで伝わるわけもないから。
From: 成田
Subject: Re:ドジョウ狩り
勝どき橋だって
ありえない位置から
届いたんだけどな
ありえないことの連続だから、
火曜日早いことなんてなんでもないと、そういうこと?
Subject: Re:
To: 成田
うん。そうだよね。
ありがとう。
From: 成田
Subject: Re:だから
いつでも全力で体当たりが基本です。
さちに体当たりするとね、甘くてとけるんだよ�T�P�P
嬉しい。
でも、ちょっと悔しい。
口ばっかりのくせに。とけたりなんかしないくせに。
ともかくは、消えてしまう火曜日の前に、あの人を独占できる数時間。
私はそれで充分機嫌がよくなった。
明日はちゃんと仕事をしよう。
ちゃきちゃき用事を片付けて、ちゃんと生活立て直していこう。
毎週毎週、日曜日の夜はそう思う。
私を、ちゃんと見つけないと。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
成田さんは、私に甘いものを食べさせるのが好きだ。
ホテルに行く時はいつもドーナツを買ってきてくれる。
ドーナツの、長方形の箱を開ける瞬間が好き。
私が甘いドーナツを食べて幸せな時、
好きな人がずっと見ててくれる時が好き。
「一番好きなのはエンゼルクリーム。」
甘いし、柔らかいから。
「オールドファッションやポンデリングは美味しいけど、
色気が無いよね。すきがない。」
そう言って、彼の口にクリームがいっぱいついたトコロ、入れてあげる。
「言いたいことは分かる。」
苦しそうな顔。そういう目で見たら若干セクシー。
口の端に白いクリーム、舌の先でなめてあげる。
成田さんはうつぶせになり、お茶を取る。
「なんでお茶飲むの?」
「甘いじゃん、口の中が。」
「ふーん。無駄だよ。」
飲み終わった成田さんの頬っぺたを押さえつけキス。
もう無茶苦茶にキス。
「甘い・・・」
苦しそうに囁く。
「だから言ったじゃん。」
不埒な時間。私は成田さんとHしたいのか。
それとも一緒にラブホでドーナツ食べたいのか?
両目で私を見るようになった成田さんは、
流された人の怯えた目をしなくなった。
戸惑いなく「大好き」って言ってくれる。優しく囁いてくれる。
でも、何かに獲りつかれたような顔をしている。
追い立てられるように「あいしてるよ」と言う。
私の話をあまり聞いてくれなくなった。
いつも上の空になってる。
私の挙動や表情や体を見て、上の空。
キスしたり、抱き合ったり、セックスする時間が増えた分、
色々なことをおしゃべりしたり、笑ったりする時間は減ってしまった。
明日が早い、って成田さんが言うから
1時過ぎにはホテルを出た。
私にしても、まだ適当な言い訳でごまかせる程度の時間。
でも、一緒にいた時間があまりに短くて、
帰り道は少し不機嫌だった。
どうしてもっと一緒にいられないんだろう?
そんな、ダメな理由のわかりきっているわがまま。
口に出したところでどうにもならない。
だから、少し怒ってた。
何かしゃべるのもだるかった。
いつもの川沿いの道まで送ってくれて、車が止まる。
「怒ってるの?さち」
不安そうに成田さんが言う。
私は笑って、「大丈夫だよ」と答えた。
でもその顔は完全に作り笑いだったかもしれない。
だからまだ不安に覆われた成田さんの顔を
両手でそっとはさんで軽くキスした。l
「さち、好きだよ」
囁く成田さんは
また、夢を見る人の顔。
私は頷くだけで車を降りた。
「じゃあね。」
走り出す車。ゆっくりと走って行く。
最後に見た顔が、少し躊躇しているように見えたから、
戻ってきてくれるような気がした。
戻ってきて何が起きるんだろう?
戻ってきて、
もっと一緒にいようと言ってくれても明日の朝がつらくなるだけだし。
戻ってきて、
愛してるよと言ってくれてももうそんなことは良く知ってるよと答えるだけ。
戻ってきて、
やっぱりもう会えないと言われたら、それもそれでありかと思う。
戻ってきて、
一生一緒にいようと言われたら私は満足?
両目で私を見てくれるようになったら成田さんは、優しくて、
私を精一杯愛してくれるけれど
何を考えているのかわからなくなった。
両目は愛しか語らない。それはそれで甘くて素敵だけれど、
どうしょうもなく不安になる。
私は、また自動販売機の横にしゃがみこむ。
戻ってきて
戻ってきて
どにもならなくても
悲しい知らせでも
なんでもかまわないから
戻ってきて
戻ってきて
戻ってきて
私は祈り続ける。
次へ
目次へ
NEWVELランキング←ランキングに参加しています。よろしければ押して下さい。