Subject: ごめんなさい
To: 成田
玉子サンドありがとう
遅くまでごめんなさい。寝不足させちゃうね
道がないのはわかってるんだけど、でもどうしようもないの。
成田さんに会いたいっていつもそれしか考えてない。
ごめんなさい。ワガママ
From: 成田
Subject: Re:おやすみなさい
ありがとう。
恋しい
眠い
夢みるなこりゃ
Subject: Re:おやすみなさい
To: 成田
毎晩さちの夢を見てくれますように
おやすみなさい
愛してる\(#⌒0⌒#)/
メールを打って、おやすみなさいを言ってからも
眠る気には全くなれず、またソファーに座りDVDを見た。
今度は本格的にうわの空。
話の筋をかろうじて追えているくらい。
病院にいたあの時間を超して、明らかに成田さんは変わっていた。
混乱、戸惑い、焦り、そんなものたちが、成田さんを包んでいる。
溺れた人のような目をして私を見る。
その目を見るたびに息が苦しくなる。喉に何かが詰まっているような。
確かに愛されていると、
それは今となってはもう疑う余地もなくはっきり実感できる。
液体のように染み込んでくる素敵な言葉の数々、
壊れ物を扱うように慎重に私に触れる指、
いつも私だけを追う優しい目、
でも、溺れた人が私の名前を呼ぶたびに不安になる。
振り返ったらもう消えているんじゃないか、
二度と会えないんじゃないか
そんな根拠のない妄想に囚われ、体から力が抜けていく。
テレビの画面を眺める。
夜の東京。
また、つまんない映画。
どうするんだろう?成田さんは。
それでもやっぱり私を切るんだろうか?
窓の外が白んでくるまで、
私はずっと同じ姿勢でテレビを眺めていた。
明け方、少しだけ眠った。
8時に成田さんからメールがきて目が覚めた。
眠いって、でも意外と眠れたから大丈夫って。
朝ごはんを食べて、会社に行ってみることにした。
月曜日から会社に行きます、と連絡をしたら
総務部長に、「そんなに早く治るわけがないだろう」と疑われた。
だからとりあえず挨拶と称し、様子見と、
病院の診断書を出しにいかないと。
退院祝いに妹が持って来てくれた、ベージュのワンピースを着た。
いかにも夏っぽい薄手の生地。
ウエストでリボンを縛ると、清楚なお嬢さん風。悪くないね。
でも、鏡を見るとパーマのとれかけた毛先が、
胸のあたりでバサバサになっているのが気になった。
美容院行かなきゃな。
日常に戻ると、
やらなくてはいけないこと、やりたいことはいくらでも思いつく。
この調子でひとつひとつ取り戻していけば、
きっと成田さんがいなくなっても大丈夫。
私はあの人が近い内には
私のそばからいなくなってしまうことを想定している。
「大事にしようと決めた人がいるんです」
あの人の言葉を思い出す。
嫉妬心のようなものは全くなかった。
どこの誰とも知らないけれど、
どう考えてみても私よりも愛されているとは思えなかったから。
そうでしょ?自惚れじゃないでしょ?
だけど成田さんは、「何をしたい」かより「何を決めた」かを取る。
人の道を外れないと決めた。
大事にしようと決めた人がいる。
くだらない。くだらない。くだらない。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
2週間しか休まなかった会社は、別にこれといって変化がなかった。
「元気そうだねー」と同僚に口ぐちに言われた。
「よっ、修理戻り。」社長には軽口を叩かれた。
そんなに早く来れるわけがないと言っていた総務部長は、
「明日、様子見で午後から来てみる?」と言い出す始末。
ちょうどお昼時、会社の近くのカフェでお姉さん達とランチをして、
タクシーで三越へ行った。
快気祝いを買わなくちゃ。
タクシーの中で何気なく成田さんへメールを送った。
Subject: Re:おでかけです
To:成田
会社行きました。久しぶりに会社のお姉さん達とランチしたよ♪
明日の午後から正常出社!入院から2週間で復帰
タクシーで三越に向かってるの。快気祝い買わないと。
成田さんにも大半お世話になって、お返ししないといけない。
何か欲しいものはありますか?
From: 成田
Subject: Re:おでかけです
なんにもいりません。
消えるなんてかなしいことを言わないで、
ずっといてください。
この人は今日ずっとこんなことを考えていたのだろうか。
ヤキが回ってるね。
ずっとどこにいたらいいんだろう?
あなたのすぐ近くにはいさせてくれないくせに。
苦しむならば私を受け入れてくれればいいのに。
Subject: Re:大丈夫
To: 成田
約束破らなきゃそんなことしない。
なんにもいらないとか言わないで。なんかないの?
もらってばっかりでイヤなの。ないとか言うと鰹節とかあげちゃうょ
その日はそれっきり成田さんからの返事は来なかった。
今度は成田さんの番。
意地っ張り大会。
違うな。混乱してるんだな。
どうしていいかわからないんだよ、多分。
昨日私に言ったり、したりしたことを悔やんでいるんだろう。
美容院に行って毛先をきれいにしてもらった。
ネイルサロンも行って、短く切った爪を整えフレンチにしてもらった。
チラチラと携帯を気にしていたけど、
それも疲れてバッグの中にしまいっぱなしにしていた。
8時過ぎ、
またタクシーで家に帰る途中携帯を見たけれどメールはなかった。
なんとなく、今日はもうこのまま何も言ってこないんだろうなと予感がした。
家に着き、もう、一人でテレビの前に座りっきりの夜は嫌だな
と思っていたら神谷君から電話がかかってきた。
「今からさぁ、そっち行くから、飯食おうぜ」
またいつものごとく唐突な感じで。
私の様子など眼中なく、一人上機嫌でベラベラと喋る。
千葉の現場に行った帰りで、
退院したてで一人家にいる私がかわいそうだから
疲れてるんだけど飯食いに連れってあげようと決めたんだ
とかなんとかそういうこと。
まったく素晴らしいくらいの上から目線。
でも、一人でいるのはどうしても嫌な気分だったから、
その横柄な態度に幾分苛つきながらも
「じゃあ、待ってるから早く来て」
と甘い声を出してしまう。
30分位でやってきた神谷君のジャガーに乗って、
家の近くのイタリアンレストランへ行った。
「好きなもの食べろよー」
と気前のいい神谷君は、
「生ビール、グラスで!」
と自分にも気前がよろしい。
かぼちゃのニョッキが美味しいんだよ、ここ。
あとは桜エビのペペロンチーノとか、カルパッチョ系とか、
適当に頼む。
「退院おめでとう」
と、ビールのグラスを掲げて楽しそうな神谷君。
今時飲酒運転にここまで躊躇の無い人も珍しい。
昨日ダーツの大会に出てさぁ、とか
現場の下請け業者のやつが使えなくてさぁ、とか
神谷君はひとしきり喋りまくり。
だから私は半分位聞き流して、適当に返事をしている。
あのつまらないDVDに比べたらまだ数段マシだし。
「でさぁ、あの男はどうなったわけ?」
自分だけが喋っていることに気がついたのか、
神谷君は不意に私へ話題を振った。
頼みすぎだからやめなよと言ったのに、
それでもオーダーしたチーズリゾットを掻き込みながら。
振った話題がまたそれかよ、と呆れる私。
「だからぁ、何もないって言ってるじゃん。」
「エッチしてないの?」
「してないってば。できないもん、私。」
「できないもんじゃなくってさぁ、できるようになったらするんでしょ?」
どうしてこの人はそんなことばかり気にするのかなぁ
この人に限らず、男と女の話になれば、
そんなことに関心がいってしまうのが普通なのかもしれないけれど。
私自身そうだったかもしれない。
やってみて、好きか嫌いかとか、
好きだからやるとか、あんまり好きじゃないからやらないとか、
そんなことしか考えていなかった。
「セックスっていいよね」
ふと思って、口にしてみる。
「なに言っちゃってるの?幸乃、欲求不満?俺とやる?」
ニヤニヤとセクハラまがいの発言。
あー、言わなきゃよかった。
でも、楽だよね、セックスは。
終わりがあるもん。
句読点みたい。
区切りがついて、はいここから段落変わります、みたいな。
点打ったから、安心して一息ついて
それまでの流れを確認できたり、次へ進んでいけたり。
15歳の夏、いわゆる初体験なんていうこっぱずかしい物を超えた時、
少女らしい感慨もないまま、私がひたすら感動したのは
「男と女の間にセックスが介入するとこんなに楽なんだ」ということ。
中学生の頃の恋愛は、ただひたすら苦しかった。
気持ちだけが増大して空回りしていく、
それこそ点も打てず息も付けない。
毎日が自己嫌悪と疑心暗鬼のお祭り騒ぎ。
「でも、幸乃とはもうエッチしないって決めたからなぁ」
とか、嬉しそうに喋っている神谷君。
「だからぁ、できないの。2週間は夫婦生活禁止ですって言われたよ」
医者は夫婦生活って言ってたな。
なんか遠まわしのようで、思いっきりナマナマしくて気持ち悪い。
食事を済ませ、川沿いの道まで送ってくれた神谷君は、
飲酒運転バリバリで元気に帰って行った。
「浜本君と仲良くしろよ!」
とまた余計なことを言いながら。
家に入り一息つくと、さすがに動きすぎたか、
お腹の鈍痛が気になった。
ロキソニンを飲んでベッドでゴロゴロしているとすぐにうたた寝。
昨日2時間しか寝てないもんな。
導入剤無しで寝れるならそれに越したことはないし、
と半寝の頭で考えた。
予想通りメールはこなかった。
寂しくはあったけれど、不安感はなかった。
何かを考えたいのか、何かから逃げたいのか、それは知らないけれど
まだ、決められないことは確信している。
私もあの人も。
病院の外に出てきたら終わると思ってた毎日は、
それでもどうにか変わらず続いている。
私はひたすら、日常が戻ってくることを望む。
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To: 成田
玉子サンドありがとう
遅くまでごめんなさい。寝不足させちゃうね
道がないのはわかってるんだけど、でもどうしようもないの。
成田さんに会いたいっていつもそれしか考えてない。
ごめんなさい。ワガママ
From: 成田
Subject: Re:おやすみなさい
ありがとう。
恋しい
眠い
夢みるなこりゃ
Subject: Re:おやすみなさい
To: 成田
毎晩さちの夢を見てくれますように
おやすみなさい
愛してる\(#⌒0⌒#)/
メールを打って、おやすみなさいを言ってからも
眠る気には全くなれず、またソファーに座りDVDを見た。
今度は本格的にうわの空。
話の筋をかろうじて追えているくらい。
病院にいたあの時間を超して、明らかに成田さんは変わっていた。
混乱、戸惑い、焦り、そんなものたちが、成田さんを包んでいる。
溺れた人のような目をして私を見る。
その目を見るたびに息が苦しくなる。喉に何かが詰まっているような。
確かに愛されていると、
それは今となってはもう疑う余地もなくはっきり実感できる。
液体のように染み込んでくる素敵な言葉の数々、
壊れ物を扱うように慎重に私に触れる指、
いつも私だけを追う優しい目、
でも、溺れた人が私の名前を呼ぶたびに不安になる。
振り返ったらもう消えているんじゃないか、
二度と会えないんじゃないか
そんな根拠のない妄想に囚われ、体から力が抜けていく。
テレビの画面を眺める。
夜の東京。
また、つまんない映画。
どうするんだろう?成田さんは。
それでもやっぱり私を切るんだろうか?
窓の外が白んでくるまで、
私はずっと同じ姿勢でテレビを眺めていた。
明け方、少しだけ眠った。
8時に成田さんからメールがきて目が覚めた。
眠いって、でも意外と眠れたから大丈夫って。
朝ごはんを食べて、会社に行ってみることにした。
月曜日から会社に行きます、と連絡をしたら
総務部長に、「そんなに早く治るわけがないだろう」と疑われた。
だからとりあえず挨拶と称し、様子見と、
病院の診断書を出しにいかないと。
退院祝いに妹が持って来てくれた、ベージュのワンピースを着た。
いかにも夏っぽい薄手の生地。
ウエストでリボンを縛ると、清楚なお嬢さん風。悪くないね。
でも、鏡を見るとパーマのとれかけた毛先が、
胸のあたりでバサバサになっているのが気になった。
美容院行かなきゃな。
日常に戻ると、
やらなくてはいけないこと、やりたいことはいくらでも思いつく。
この調子でひとつひとつ取り戻していけば、
きっと成田さんがいなくなっても大丈夫。
私はあの人が近い内には
私のそばからいなくなってしまうことを想定している。
「大事にしようと決めた人がいるんです」
あの人の言葉を思い出す。
嫉妬心のようなものは全くなかった。
どこの誰とも知らないけれど、
どう考えてみても私よりも愛されているとは思えなかったから。
そうでしょ?自惚れじゃないでしょ?
だけど成田さんは、「何をしたい」かより「何を決めた」かを取る。
人の道を外れないと決めた。
大事にしようと決めた人がいる。
くだらない。くだらない。くだらない。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
2週間しか休まなかった会社は、別にこれといって変化がなかった。
「元気そうだねー」と同僚に口ぐちに言われた。
「よっ、修理戻り。」社長には軽口を叩かれた。
そんなに早く来れるわけがないと言っていた総務部長は、
「明日、様子見で午後から来てみる?」と言い出す始末。
ちょうどお昼時、会社の近くのカフェでお姉さん達とランチをして、
タクシーで三越へ行った。
快気祝いを買わなくちゃ。
タクシーの中で何気なく成田さんへメールを送った。
Subject: Re:おでかけです
To:成田
会社行きました。久しぶりに会社のお姉さん達とランチしたよ♪
明日の午後から正常出社!入院から2週間で復帰
タクシーで三越に向かってるの。快気祝い買わないと。
成田さんにも大半お世話になって、お返ししないといけない。
何か欲しいものはありますか?
From: 成田
Subject: Re:おでかけです
なんにもいりません。
消えるなんてかなしいことを言わないで、
ずっといてください。
この人は今日ずっとこんなことを考えていたのだろうか。
ヤキが回ってるね。
ずっとどこにいたらいいんだろう?
あなたのすぐ近くにはいさせてくれないくせに。
苦しむならば私を受け入れてくれればいいのに。
Subject: Re:大丈夫
To: 成田
約束破らなきゃそんなことしない。
なんにもいらないとか言わないで。なんかないの?
もらってばっかりでイヤなの。ないとか言うと鰹節とかあげちゃうょ
その日はそれっきり成田さんからの返事は来なかった。
今度は成田さんの番。
意地っ張り大会。
違うな。混乱してるんだな。
どうしていいかわからないんだよ、多分。
昨日私に言ったり、したりしたことを悔やんでいるんだろう。
美容院に行って毛先をきれいにしてもらった。
ネイルサロンも行って、短く切った爪を整えフレンチにしてもらった。
チラチラと携帯を気にしていたけど、
それも疲れてバッグの中にしまいっぱなしにしていた。
8時過ぎ、
またタクシーで家に帰る途中携帯を見たけれどメールはなかった。
なんとなく、今日はもうこのまま何も言ってこないんだろうなと予感がした。
家に着き、もう、一人でテレビの前に座りっきりの夜は嫌だな
と思っていたら神谷君から電話がかかってきた。
「今からさぁ、そっち行くから、飯食おうぜ」
またいつものごとく唐突な感じで。
私の様子など眼中なく、一人上機嫌でベラベラと喋る。
千葉の現場に行った帰りで、
退院したてで一人家にいる私がかわいそうだから
疲れてるんだけど飯食いに連れってあげようと決めたんだ
とかなんとかそういうこと。
まったく素晴らしいくらいの上から目線。
でも、一人でいるのはどうしても嫌な気分だったから、
その横柄な態度に幾分苛つきながらも
「じゃあ、待ってるから早く来て」
と甘い声を出してしまう。
30分位でやってきた神谷君のジャガーに乗って、
家の近くのイタリアンレストランへ行った。
「好きなもの食べろよー」
と気前のいい神谷君は、
「生ビール、グラスで!」
と自分にも気前がよろしい。
かぼちゃのニョッキが美味しいんだよ、ここ。
あとは桜エビのペペロンチーノとか、カルパッチョ系とか、
適当に頼む。
「退院おめでとう」
と、ビールのグラスを掲げて楽しそうな神谷君。
今時飲酒運転にここまで躊躇の無い人も珍しい。
昨日ダーツの大会に出てさぁ、とか
現場の下請け業者のやつが使えなくてさぁ、とか
神谷君はひとしきり喋りまくり。
だから私は半分位聞き流して、適当に返事をしている。
あのつまらないDVDに比べたらまだ数段マシだし。
「でさぁ、あの男はどうなったわけ?」
自分だけが喋っていることに気がついたのか、
神谷君は不意に私へ話題を振った。
頼みすぎだからやめなよと言ったのに、
それでもオーダーしたチーズリゾットを掻き込みながら。
振った話題がまたそれかよ、と呆れる私。
「だからぁ、何もないって言ってるじゃん。」
「エッチしてないの?」
「してないってば。できないもん、私。」
「できないもんじゃなくってさぁ、できるようになったらするんでしょ?」
どうしてこの人はそんなことばかり気にするのかなぁ
この人に限らず、男と女の話になれば、
そんなことに関心がいってしまうのが普通なのかもしれないけれど。
私自身そうだったかもしれない。
やってみて、好きか嫌いかとか、
好きだからやるとか、あんまり好きじゃないからやらないとか、
そんなことしか考えていなかった。
「セックスっていいよね」
ふと思って、口にしてみる。
「なに言っちゃってるの?幸乃、欲求不満?俺とやる?」
ニヤニヤとセクハラまがいの発言。
あー、言わなきゃよかった。
でも、楽だよね、セックスは。
終わりがあるもん。
句読点みたい。
区切りがついて、はいここから段落変わります、みたいな。
点打ったから、安心して一息ついて
それまでの流れを確認できたり、次へ進んでいけたり。
15歳の夏、いわゆる初体験なんていうこっぱずかしい物を超えた時、
少女らしい感慨もないまま、私がひたすら感動したのは
「男と女の間にセックスが介入するとこんなに楽なんだ」ということ。
中学生の頃の恋愛は、ただひたすら苦しかった。
気持ちだけが増大して空回りしていく、
それこそ点も打てず息も付けない。
毎日が自己嫌悪と疑心暗鬼のお祭り騒ぎ。
「でも、幸乃とはもうエッチしないって決めたからなぁ」
とか、嬉しそうに喋っている神谷君。
「だからぁ、できないの。2週間は夫婦生活禁止ですって言われたよ」
医者は夫婦生活って言ってたな。
なんか遠まわしのようで、思いっきりナマナマしくて気持ち悪い。
食事を済ませ、川沿いの道まで送ってくれた神谷君は、
飲酒運転バリバリで元気に帰って行った。
「浜本君と仲良くしろよ!」
とまた余計なことを言いながら。
家に入り一息つくと、さすがに動きすぎたか、
お腹の鈍痛が気になった。
ロキソニンを飲んでベッドでゴロゴロしているとすぐにうたた寝。
昨日2時間しか寝てないもんな。
導入剤無しで寝れるならそれに越したことはないし、
と半寝の頭で考えた。
予想通りメールはこなかった。
寂しくはあったけれど、不安感はなかった。
何かを考えたいのか、何かから逃げたいのか、それは知らないけれど
まだ、決められないことは確信している。
私もあの人も。
病院の外に出てきたら終わると思ってた毎日は、
それでもどうにか変わらず続いている。
私はひたすら、日常が戻ってくることを望む。
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