時は1960年代
高度経済成長期、日本中が熱病に侵されていた。
経済成長という至上命題を前に人の命など虫けら同然であった。
水俣病、四日市ぜんそく


東京の精神科もまた例外ではなかった
「お届けものです」
小太りの業者が荷物を届ける
送り先の名は藤井きよし
配達物は地獄へのパスポートだ。
だが、受取人は留守だった。
しかたなく、代わりに家族に預かってもらった。
時計の針は三時間進んだ。
受取人はまだ現れない。
そしてついにパスポートは期限が切れた。
残念ながらこの世においてはオーバーステイになってしまった。
死の入国管理局は待ってくれない。
配達人の名は桜庭章司
いったい何があったのか、何が彼を凶行に駆り立てたのか?