トレーナーとして知識の中でのリハビリと実際に行わせているリハビリと食い違いみたいなものを感じる時がある。

特に復帰の時期が近くなり、より競技の特異性を用いたアスレティックリハビリテーションを行わせている時の事である。

この時期には怪我の不安感が無く様々な動作が出来るのか?という主観的な視点、怪我をする前と比べてデーターはどうなっているのか<スプリント・ロングランのタイムやバイオテックスや周囲径の測定結果>という客観的な視点を織り交ぜながら具体的な復帰時期をコーチングスタッフと相談しながら復帰を決めるのである。

そこを今までの経験・知識だけで補ってきていたが、最近はそれで復帰させて不安無くスムーズにトレーニングを行えるのか?という風に考えている。


以前JEFのアスレティックトレーナーの方と話している時『オシムさんにトレーニングで走るという事の本質を教えて貰ってからアスリハのトレーニングの考え方が変わった』と教えて貰った。

それを思い出し、考え出してから実際に選手と同じトレーニングを行う様になり、試合形式のトレーニングも行ってみた。トレーニングを行った際、体力には自信がある方なのでそこそこ行えていたが、やはり試合形式になるとたかだか15分程度でも吐きそうな位に疲れていた。また筋肉の疲労度も普通の筋力トレーニングよりも使い方が違うせいか、違和感のある筋肉痛の様なものもあった。これは選手で言う所のサッカーでしか使わない筋肉というものだろう。

この様にいくら良いリハビリメニューを組んで運動強度がきつく効率の良いトレーニングを行っても、実際の試合形式では普段の練習でしか培えないものがあるとより一層感じた。

もちろん基礎体力があっての専門体力であるので基礎的な体力を付けて行くのは大切な事であるが、専門体力というものを今一度考えるべきなのでは?と自分自身に問い掛ける様になった。


選手で足関節脱臼で約9ヶ月リハビリをしてから復帰し、連続の試合でまた軽い肉離れでリハビリを余儀なくされた選手に言われた『もっとボールを使って走る・蹴る等のトレーニングをした方が良いですよ。じゃないと僕みたいな選手が増えますから。』この言葉は尊重していきたい。

そして考えながら走る、競技復帰(これは試合に出るということ)の為に走る、という事をもっと深く考えて行きたい。

また実際に行ってみて疲労が強くなった時のリコンディションの重要性を更に実感できた。