日本人選手は取りたい選手がいっぱいいる by全米代表コーチ [野球留学] | 成功する野球留学・スポーツ留学:行列の出来る教授の相談所&ときどきスポーツ名言

日本人選手は取りたい選手がいっぱいいる by全米代表コーチ [野球留学]

「日本人選手9人全員、(米大学最高峰の)ディビジョン1でプレイできる。」

「うちで全員取りたいぐらい!」

笑いながらしかし真剣なまなざしで語っていたのは、メジャーリーガーも輩出するNCAAディビジョン1、カリフォルニア州立大ノースリッジ校野球部のムーア監督。

ムーア監督は、昨夏日本で開催され、盛り上がったU18野球世界選手権大会にアメリカ代表チームピッチングコーチとして来日。
アメリカは予選ラウンドで日本に敗れたものの決勝では日本を下し首脳陣の一人として、優勝の美酒を味わった。

2度対戦した日本チームのメンバーについて、
「もし、日本チームのメンバーがアメリカでプレイしたい」と言ったら。。。との問いに、冒頭のコメントが高い評価とともに返ってきた。

「上位打線でなく、下位打線も十分いける。」
という野手陣に加え、

投手陣はさらに高い評価。

「右投手、左投手ともにいい!90マイル台(144.8km以上)のスピードはないが、80マイル後半(136.7~144.8)をコントロール良くキャッチャーのミットにズバズバ決めてくる。
 それと縦のカーブがいい。コントロール良く、縦のカーブをきっちり決めたら、80マイル台のスピードでも十分抑えられる。」

アメリカには1400超の大学硬式野球部があり、NCAAディビジョン1は4年制大学の1部リーグのこと。アメリカの大学は入れ替え制が入れ替え制がないため、NCAAディビジョン1は米大学野球=つまり米アマチュア野球界の最高峰レベルと言ってもいい。

この大学の仕組みは日本と異なり他のスポーツでも共通。とくに、大学アメリカンフットボール、大学バスケットボールは高額な放映権がつき、プロをもしのぐ人気を誇る米大学スポーツの二大花形スポーツ。野球を含めそれ以外のスポーツは、アメフト・バスケと比べ、テレビ的な盛り上がり、観客動員の点では大きな差がある。

それでも奨学金、施設、環境面など、スポーツを問わず、アメリカ人にとってNCAAディビジョン1でプレイするというのは多くのアスリートにとっての憧れである。

とはいえ、ディビジョン1に行けないとプロの道が完全に閉ざされるということはではない。
MLB球団は2年大からも積極的に選手をドラフトに指名する。ブライス・ハーパーや、古くはマイク・ピアザ、カート・シリングのようなスターも2年大から出ていることからもレベルの高さがうかがえる。
さらにディビジョン1のチームは積極的に2年大の選手をスカウトし、編入させる。

ムーア監督の下で今プレイをしているのが、まさに2年大からスカウトされ編入してきた雄佑君だ。
昨年、3年次からムーア監督でプレイし、1年目、2年目とスターティングショートストップとして上位、中軸を打ち、ムーア監督から絶大な信頼を受けている。

実際に今のチームに日本人選手がいたので、U18の前から日本人選手の実力を評価していたようで、昨夏のU18で日本人選手の実力を再認識することになった。

そうなると、当然質問は次のものとなる

「もし日本人選手をスカウトしたら、アメリカに来てくれるか?」

「もちろん!」
と言いたいところだったが、
現状を考えると
「なかなか簡単でない。」
と正直に答えた。

すると 当然、監督は
「なぜだ?」
となる。

答えの一つとしては、

アメリカへ行くという優先順位の低さ

だろう。
U18クラスはもちろん、全国レベル、県レベルでも、強豪校の主力選手はさまざまな進路がある。選手によっては、1、2年時からほぼ約束されているという場合もあると聞く。
この進路というのは日本の大学だけでなく、社会人も含まれる。U18クラスならプロ野球ドラフト指名というチャンスも十分有る。
そうなると、アメリカという選択肢はずっとあとになってしまうことになる。いや、選択肢にすら入ってこないというのが現状かもしれない。

では、なぜ優先順位が低くなってしまうか。

ひとつには、やはり、単にアメリカの大学でプレイをするというイメージが沸かない。あまり前例を聞かない、ということがあるだろう。
知らないと人は不安になる。

アメリカ野球留学に対してよく聞かれる主な不安としては

1英語ができないとだめなのでは 
2費用が高いのでは
3実力的についていけないのでは

などがある。しかしこれらは知らないことからくる不安で、実情は異なる。一つひとつ見ていくと…

1の英語について、もちろんアメリカの大学では英語ができないとプレイできないところが大多数だが、そうでないところ(英語が出来なくても野球部に入れるところ)が一部ある。特にムーア監督のような監督からスカウトされた場合、一定レベルに行くまでのサポートが受けられる可能性がある。
アメリカの運動部は誰でも入れるわけでなく、少人数制で枠が限られている。誰でもスカウトされるわけではない。逆にその枠を無駄にしたくないのでスカウトした選手をきちんとサポートするインセンティブが働く。

さらにアスリートに限らない全体的な話として、アメリカの大学は世界に向けて極めてオープンである。国にとっても一大産業であり、ソフトパワーの観点から政治的にも、オープンであることは重要な意味を持つ。つまりハードルを高くするというより、できるだけ世界中の多くの人に学びに来てもらいたいという姿勢である。したがって、特に学士レベルでは、英語が母国語でない人もきちんと一定量学べば、基準をクリアできるレベルに設定している。
さらに、英語というのは言葉であり、言葉を操る力は人間に備わった能力の一つである。赤ちゃんが時間とともに言葉を覚えるように、一定量をこなすことで身につけることができるものである。
「うちの子は(生徒は)、英語なんて絶対無理だ」という方がたまにいるが、それは人間の本来の能力を過小評価しすぎていると言っていい。
特にネイティブに囲まれた環境に入れ、野球やスポーツという軸を持って留学生活を送れるアスリートは英語の習得がより進みやすい状況にあるといえる。

2の費用についてもNCAAディビジョン1校からスカウトを受けた場合、たいていは奨学金のオファーが待っている。またアメリカの4年大は2年大生も積極的にスカウトする。雄佑くんのように最初の2年間、2年制大に行って活躍し、4年大にスカウトされ、全額奨学金のオファーを受けるというチャンスも十分に有る。2年大の学費は、年間100~120万円など日本の私立とあまり変わらない程度であり(弊社提携校)、その後2年、全額奨学金となれば、トータル4年間での学費は1年あたり50~60万円程度となる。活躍次第で奨学金を受けるチャンスがあるというのはアメリカの大学の特徴でもある。

3の野球の実力について、冒頭ではU18の話をしたが、日本の高校野球のレベルは非常に高く、必ずしもU18レベルである必要はない。
前述のムーア監督の下でプレイする雄佑君は高校時、静岡の強豪校でレギュラーであったが、甲子園には出ていない。
都道府県の強豪校レベルのレギュラーであれば、十分雄佑君のように奨学金を受ける可能性がある。
レギュラーだけではない。
高校時代レギュラーではなかった選手もアメリカの大学で実績を出し、同じNCAAディビジョン1で全額奨学金をもらっている大賜君のようなケースもある。
また大賜君は野手だが、ピッチャーでも2番手、3番手でも十分通用するチャンスがある。
かつて野球留学していた僚太君はマックス120km台。高校時代は3番手投手だったが、アンダースローでコントロール良く緩急をつけ、優勝争いをする2年大強豪チームで活躍し、ディビジョン1からオファーを受けた。僚太君は結局ディビジョン1には進まなかったが、
大賜君同様、高校で控えの選手がアメリカで活躍し、評価を受けた好例であり、それは日本の高校野球のレベルの高さを表していると言える。

こんな話をするとアメリカ人コーチにとっては、ますます日本の高校野球はポテンシャルの宝の山だ。と魅力的に思うことだろう。
ムーア監督との会話でも、「日本人選手をスカウトしたい」という気持ちがにじみ出ていた。

ムーア監督以外にも、大賜君の監督や僚太君の監督をはじめ、活躍した日本人選手を率いた監督はもちろん、対戦相手で痛い目に合ったチームの監督など、日本人選手のポテンシャルを大いに評価し、スカウトしたいと言ってくる監督は何人もいる。

高校球児とすれば、あとは彼らアメリカの監督・コーチに自分のプレイを見てもらうだけだ。
彼らに気に入られたら、その先の話は比較的スムーズに進む。
比較的といったのは、先ほど、英語の習得は問題ない、といったものの、それなりに時間がかかるのと、学校によって、一定のルールがあるため、ただ行けば何とかなるものではないという状況ではあるためだ。自身もそれなりにきちんと努力する必要はある。

とはいえ、
日本人選手がアメリカの大学で十分やれるチャンスをあらためて感じた。
ムーア監督のようなアメリカの大学野球部監督から、いきなりスカウトされることがあるかもしれない。
その時は、知らないからというだけで、選択肢から外すのでなく、ぜひとも前向きに検討してほしい。

アメリカと日本を橋渡しする側の我々も、「日本人選手がほしい」と言われ、「アメリカ野球留学はまだまだ優先順位が低くて。。」と言っている場合ではない。

見られる場の提供はもちろん、もっともっとこれまでの前例や情報を積極的に提供し、そして実際にもっともっと前例を作り、アメリカ野球留学がごく当たり前の選択肢の一つになる環境づくりに努めなければならないと、つくづく感じた、アメリカ代表コーチとの大いに意義あるアメリカ代表コーチとの話だった。

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雄佑君もここから始まった。
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現在ムーア監督の下で活躍中の雄佑君



ムーア監督とのツーショット