最寄りの無人駅からいつものように自動改札機を抜けてワンマン電車に乗る。昔のように車掌さんが車内に現れる事もなく、黙ってスマホに目をやる乗客達に囲まれる。もちろん車内放送も自動で流れ、他に聞こえるのは枕木を跨ぐ電車の音だけだ。孫の顔見たさに名古屋へ向かった。人の多さと空の狭さを感じながら街のあちこちに目をやる。洒落たパン屋に立ち寄った。レジでは店員がバーコードをピッとするだけで、あとはセルフだ。自分でお金を機械に入れ、自分でひとつひとつのパンを自前の袋に入れた。もちろん店員との会話は無かった。翌日孫と娘と三人で近所のスーパーに行った。レジは長い行列が出来ていて、店員さん達が懸命に応対していた。ひとつひとつの商品を丁寧に扱う光景は久しぶりだ。
殆どの事がセルフに向かう時代の流れの中で何が正解か分からぬが、当然こういうスタイルもあっていいと感じながら孫と共に長い列に加わった。
「どうだ、こういうのも面白いだろ。」