わたしね、夢を見たの


人間になる夢を


なにかすばらしいことがあると


信じていたの


願いがかなってそのときは来たけど


思ったものと違っていたわ


心は窮屈に縛られて


体があるゆえに不自由だった


持っていたものはどこかに消えうせて


頭はぼんやりとして、思い出せない何かを探す日々


わたしね、人間になって後悔したの


体が朽ちるまで走り続けなきゃならない苦しさに


何度も立ち止まろうとしたけれど、歩き続けたの


せめて悲鳴を上げたくともできなくて、涙をのみ続けたの


あの時夢見たものって、なんだったのかしら


たぶん、わたしにはない光を見たのね


優れた力も、自由に羽ばたける翼もないのに


自身のかせを外し、自由な心で愛を分かち合う人間の


真我から輝く大いなる光を


わたしね、夢をみることはもうないわ


今を生きることでしか、答えはみつからないから


夢は夢なの


今を夢で終わらせないために