ひんやりした風が足をなでる朝


幼い頃の終了間際の夏休みを思い出す


ラジオ体操を終えて朝餉を済ませ


だんだん暑くなる網戸の外を眺めながら


遊びに行く時間を待ちわびた


ねぎと味噌汁の香りが残った食卓を


母とともに片付けながら


ほの暗い北向きの台所に通る風を感じていた


そこには元気な両親と兄弟がそろったひとつの家があった


大目玉を食らったり、甘えたり


けんかをしたり、仲直りしたり


小さな円の中の近しい距離で


人生行路への予行練習を重ねていた


あの頃はもうどこにもない


あの頃はもどらない


けれど、それぞれに今がある


年老いた両親と年齢を重ねた兄弟、そして新しい家族


古ぼけた思い出はそのままに


今を生きられることに感謝し明日に繋ごう


人として生きることを楽しみながら


縁ある人と美しい軌跡を描いていこう


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