ころんと落ちた茶色の破片
洗いかごの水受けに転がって
取り出されるのを待っているよう
木屑のような欠片はなぜか重く
手にしてやっと陶器の一部だと気がついた
いったい何の欠片なの?
かごの中を見ても使った食器を見ても
似たような色のものはみあたらない
だいたいこんな色の陶器の器なんてあったっけ?
いくら考えても答えが出ないし、ピンとこない
毎日空っぽにする、かごと水受けから、突然出てきた大きな欠片
きっと異次元からやってきたのね
だとしたら今度は母体がポンッと飛び出すのかしら?
楽しみなような迷惑なような、他愛ない考えに笑みを浮かべつつ
破壊した現物が出てきたらさぞ凹むだろうなと
現実的な考えも心をよぎる
不思議な現象を事件さながらに思い巡らし
捨てきれない欠片をただまじまじと眺めるばかり