ピンク色の薄い貝殻を


小さな手でそっとなでる


お守りにと貰った、桜色のさくら貝


どこかの海で拾われた貝は


触れるだけでも壊れてしまいそうで


小瓶に入れて大切にしまって


思い出すたびに眺めていた


宝箱に入れていたさくら貝は


年を経るに従い色あせて


いつしか幼い頃の気持ちも同じようにあせて


その存在さえ忘れ消え去っていった




紅色をふくんだ桜色はさくら貝の色


色の記憶をたどっていけば


あの頃の純粋な気持ちがよみがえった


そして


私の心の小穴にピースが一つすっぽりとはまりこんだ