慌てて食事の用意をしていたとき


うっかりして熱い蒸気が指にかかった


火傷に気付かぬままいると


次第に痛みが襲ってきた


火傷をしたのはたった3本の指だけ


見た目は無傷で腫れてもいないのに


皮膚の下は痛みと脈動が走る


言いしれない不安に陥りながらも


患部を冷やして痛みを紛らした


愚かさに己を恨めしく感じつつ


ふと火傷を負って原爆の野をさまよった人々を思い起こした


全身火傷を負った人々の痛みや不安、苦しみは


私のこれっぽっちの傷とは比べ物にならない


原爆だけでなく戦争、テロからほんの不注意から起こる事故まで


傷を負った人は、痛みと恐怖に苛まれている


頭でわかったつもりでいたが、


悲しいことに実際のところは経験するまではわからなかったのだ


想像力の欠如に愕然としながらも


小さな気付きを与えてくれたこの出来事に感謝し


いきとしいけるものすべてに祝福あれと祈りを捧げた