好きなもの描きたい!〜ある日の幼児クラス | こどもの絵画造形教室 アトリエ One〜世田谷区用賀・経堂・千歳船橋

こどもの絵画造形教室 アトリエ One〜世田谷区用賀・経堂・千歳船橋

世田谷区にある子どもの絵画造形教室です。
楽しくのびのびと描いたり作ったり表現したりするなかで、子どもたち一人ひとりの個性がすくすく育っていくことを大切にしています。

 教室に入ってくるなり「今日はテントウムシ描きたい!」と伝えてくれた年長さん。いいよ、いいよ。テントウムシ描こう♪「テントウムシ持ってこなかったの〜?」という問いに、うん、持ってきてないよ・・・あれ?そんな約束したかな?う〜ん・・・あ、思い出した!前回の帰り際にこんなこと言ったね。「先生これからも虫やお花を持ってくるね」って。それを覚えていたんだね。テントウムシと具体的な名前を言ったのか覚えてないのだけど、私の記憶力よりも子どもたちの記憶力の方が確かな感じがするから、きっと言ったのよね。

 「葉っぱの上にテントウムシが止まっているのを見たの」と言いながら描いたテントウムシは、ニコニコいいお顔。描いた本人もとっても嬉しそうにニコニコ。

 テントウムシが好きなお花も描いて、あとは何を描こうか?・・・しばらく考えて描き出したのは雲。雲の仕組みを幼稚園の先生が教えてくれたらしく、描きながら説明してくれました。

自然の仕組みなどを科学的な側面から幼児に教えていくことは、日本だけでなくしばらく前から海外でもどんどんそうした方向になってきていると聞きました。私が関わらせてもらっている幼児向けの月刊誌でも、自然の仕組みを小さい子でも分かるような切り口で描いたお話が時々掲載されています。

知らなかったことを一つひとつ知っていくたびに子どもの興味や関心は広がっていくので、お勉強という感じではなく子どもが楽しく面白く感じられるような切り口で伝えていってもらえたらいいなと思います。

 またその一方で、毎日の生活の中でじかに、あるいはテレビや本などを通してでも、目にする自然の神秘をただただ美しいな、不思議だな、面白いなと感じる心を育てることをないがしろにしてはならない、と思います。自然に対するゆたかな感受性を育みながら、徐々に子どもの年齢や理解度に応じて科学的な側面を伝えていく、というのが良いなと思っています。

 

   

 

  自由画のあとはこれも本人の希望でデジカメ作り。一つ目は自分の好きなように画材を選んで作り、二つ目は操作ボタンをどうするか、ちょこっと提案してみました。丸いものを型押しするか、輪ゴムを貼り付けてみるか・・・本人が選んだのは輪ゴム。3色の輪ゴムを左右に何個ずつ、どのように配置するか自分で考え、付けることができました。それから空いているスペースに大好きな虹を描いてできあがり。モニター部分には椅子も描きました。椅子は目の前に実際にあるものを見て描いたのではなく、本人の記憶の中にある椅子。「こんな模様がついてるの」と言いながら描いた模様を見て、ラタンかな?布地の模様かな?と想像が掻き立てられます。

 最後はデカルコマニーをしました。初めてのデカルコマニーは、水の加減やつける絵の具の量によって色の濃淡や形の現れ方に違いが出ることも分かって、楽しくできたね。

 幼児期の子どもにとって、ものを見たまま写実的に描きたいという欲求はありません。描かせる必要もありません。自分の目で見て覚えたものを、自分の描きたいように描きます。色も自分の塗りたい色で塗ります。そうしたシンボル的な描写の時期は小学校に上がってからも続きますが、そうしてできた絵やかたちの中にその子らしさ、その子ならではの感性が見て取れます。周りの大人は温かい目で見守り、育んでいきたいものですね。