先週の幼児クラスでは、さまざまな素材を用いての半立体作品を作りました。
普段私たちが目にする緩衝材には実にいろいろな種類があって、見た目も手触りも
子どもたちの興味をひき、手を伸ばさずにはいられない、とても魅力的な素材なの
です
初めに巻き段ボールを見つけた子は、「なにこれー」と目を輝かせたかと思うと、
指先をジャカジャカと上下させ「ギターみたい!」と面白がっていました。
表面の出っ張りをギターの弦に見立てたのですね。
自分が知っているものを別のもので見立てるのが幼児期の発達の特徴ですが、巻き段ボールの凹凸を見て即座にギターを連想し、手を動かして音を鳴らして楽しむ、という一連の子どもの動きは、もうそれだけで十分クリエイティブで、傍にいる大人の私も楽しくてたまりません。
その子は次に何をしたかと言うと、画用紙にギターの輪郭を描きました。そこに巻き段ボールを貼ってギターの絵にしようと考えたわけです。
ところが、緩衝材はほかにも沢山あり・・・初めて見る・触るような素材たちにすっかり心奪われ、心向くまま、手の動くまま、画用紙いっぱいに貼り付けていきました。
できたー!と本人も満足した様子で、これでおしまいと思いきや・・・色を塗ってみたいな、ということで、塗りたい部分に着彩していきました。パレットの上に絞り出した絵の具の色から、貼り付けるときには特定のものを見立てて貼ったわけではなかったものが、具体的なものに取ってかわったりしました。瞬間、瞬間のひらめきや思いに従って手を動かしていくことで、意図していなかったものができていくというのは、創作-クリエイティビティ-の本質のひとつの側面であり、喜びと言えるでしょう。
それぞれの素材のもつ手触りの違いを指先でじっくりと楽しみながら、どこに何を配置するか、自分で考えて手を動かす。手本を模倣するのではなく、指導者の言うとおりに手を動かすのでもなく、自分の頭で考え、自分で判断して好きなように作る。この体験の積み重ねが子どもの脳と心の発達のうえで非常に大切です。教室ではこのような制作を大事に、工夫を重ねておこなっていきます。