上野で見そびれてしまったパリポンピドゥーセンターのキュビズム展を観てきました!


「パリ市」ロベール・ドローネー 1910-1912




まるでモザイクかパッチワークのように広がるパリの街並みです。


手を取り合う3人の女性は愛と美、慎みを象徴する西洋美術の伝統的な三美神のイメージでしょうか。


画面右手に見えるのは今やパリのシンボルともいえるエッフェル塔です。


1889年に完成したエッフェル塔は単なるランドマークとしてではなく、


天気や航空学の観測所としても使われました。


作者のロベール・ドローネーにとって


エッフェル塔は


ヨーロッパの技術発展を象徴するモニュメントであり、


興味深いモチーフだったのでしょう。


ドローネーは1909年頃から


ピカソとブラックのキュビズムに影響を受け、


サロン・キュビストの画家としてデビューしました。


その後、彼らとは距離を置き、


光や色彩理論に興味を持ちます。


そして、同時主義とも呼ばれる純粋な色使いと


抽象表現を深めた独自の絵画を展開していきました。


ドローネーの妻ソニアもこの同時主義を探究し、


二人は新しい表現を求めて模索を続けたのです。





「バル・ビュリエ」ソニア・ドローネー

1979年

(マットレス・カバー)




ロベール・ドローネーの妻であり、


夫と共に色彩と光の新たな表現を追求したのがソニアドローネーです。


ウクライナ生まれのソニアは


若い頃から美術や外国語を学び二十歳の時にパリへ移住しました。


パリで画商である最初の夫ウーデと結婚したソニアは


ピカソやブラックとのグループ展に関わるなど、


画家として活動しました。


ロベールと出会ってソニアは再婚し、


舞台衣装や室内の装飾など


多くのジャンルにまたがる作品を展開していきました。


キュビズムから抽象絵画へ、


さらにはデザインの領域まで


活動範囲を広げた前衛的なマルチアーティストとして


無視することの出来ない存在。


バル・ビュリエと題されたこちらの作品は、


パリにあった同じ名前のダンスホールがテーマになっています。


電灯が照らすホールで抱き合って踊るカップルたち、


色彩がひしめく画面の中、


そのシルエットはまるで蜃気楼のように揺れ動いています。


ロベールとソニアドローネーは同時主義を追求しましたが、


詩人のアポリネールは彼らの作風を


オルフェウス的キュビズム、


またはオルフィズムとも呼びました。


ピカソやブラックからなる最初のキュビズムは


再構築を重視して色彩は抑えていましたが、


それに対してオルフィズムは


明るい色彩と運動感を取り入れ


音楽のようなリズムを持つ抽象絵画へと向かったのです。




美術館解説より引用





深く知ることが出来たキュビズム展でした。


絵を描く人はぜひ!




パリ・ポンピドゥーセンター

キュビズム展 美の革命

京都市京セラ美術館

7月7日(日)まで





アトリエに


本とポスターを購入しました