ボルタンスキー展 | 絵画教室アトリエ・リベルタのブログ

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絵画教室の日々の様子をお伝えします。絵を描くことが好きな方、興味がある方と交流できると嬉しいです。

大阪、中之島に来ていながら、

 

これから目にする作品を思うと少し気が重くなっていた。

 

堂島川沿いの桜を見るとまだ蕾、、、。

 

 

 

 

ここは国立国際美術館。

 

 

現代のフランスを代表するアーティスト、

 

クリスチャン・ボルタンスキーの『Life time』展に足を運んだ。

 

「死」がテーマの作品展だ。

 

 

 

写真、インスタレーション、映像で

 

生死の意味を表現する彼の作品は、

 

戦時中、家の床下に隠れ住んでいた

 

改宗ユダヤ人である父親の記憶や、

 

戦後母親やその友人から聞かされた強制収容所

 

の話に影響されている。

 

 

 

 

 

磔刑を想起させる小さな青色電球に囲まれたコート。

 

 

 

 

ボルタンスキーの生まれた夜の星座を再現したという、

 

細長い棒に取り付けた数百の鈴が、

 

風に揺らいで音を立てる様子を撮影したビデオ作品。

 

彷徨える魂の声のように聞こえてくる鈴の音。

 

 

 

 

 

明るい光の映像作品の隙間を通路のように通ると、

 

大きな電球に照らされる奇妙な真っ黒い物体が現れる。


 

・・・!

 

 

この部屋に入ろうとして、

 

その異様さに私の足はしばらく先に進まなかった。

 

 

 

 

目の前には男性の礼服ばかり集めたという1.4トンの塊。

 

今回、日本の展示に合わせて集められた古着だ。

 

 

 

 

その周囲には、頭の無い「彼岸の番人たち」が

 

何体も取り囲むように不気味に佇んでいる。

 

避けられない死の象徴として、見ている私達を誘うように。

 

 

 

 

タイトルは「ボタ山」。

 

人間一人ひとりの個性を飲み込み、記憶や思い出を

 

全て混ぜ合わせた塊となったものだという。

 

 

 

 

古着はかつてボルタンスキーの作品に用いられてきた素材だが、

 

これまでの「持ち主の記憶を留めるもの」から

 

「不定形の塊に過ぎないもの」に意味を変えている。

 

 

 

戦争や犯罪などによらない普通の人々の死を

 

「滑稽なもの」と言い放ってしまうボルタンスキー。

 

 

電球と金属のフレームで囲まれた

 

モノクロの子供達の顔写真を祭壇のように配置した作品は、

 

彼の代表作だ。

 

 

 

 

ホロコーストにとどまらない普遍的な「死」のイメージ、

 

そうした新しい彼の作品が、

 

今後どのように展開されるのか興味を引かれた。

 

 

 

美術館を出た私は、暫くは夢うつつのまま

 

日差しを浴びながら大阪駅目指して、

 

トボトボ歩いて行きました。

 

 

 

春だな〜。