前からみたいと思ってて、リバイバル上映の情報を得て、やっと観に行けた映画
「人生フルーツ」
最初、「奇跡の林檎」みたいと思い込んでて、基礎知識もなしに観たんだけど、すごいよかった。
「風が吹けば枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば土が肥える。
土が越えれば果実が実る。
コツコツ、ゆっくり。
人生フルーツ」
樹木希林さんのナレーションが、これまた味があって、このフレーズが何度もなんども繰り返される。
90歳の建築家と87歳の奥様の、信念のある一本筋の通った生き方を、どこまでも優しいお人柄が包み込み、チャーミングでクスッと笑えるユーモアに溢れた、丁寧な暮らしぶり。
「生きる」ために「自然」と共生して、「土」や「雑木林」への尊敬の念をわすれず、「畑の実り」「食」「生き物」「心」「仕事」をこよなく愛していた。
経済、管理、スピード、情報。
便利さを追い求めすぎて、人が人らしい生き方や感情を置いてけぼりにしてしまった現代の病んだ構造を、マッカーサーが日本に降り立ったその瞬間から、彼は知っていたのかもしれない。
遺作となった最後の「依頼」が、彼の仕事の集大成になり、その遺志を形にできたのかも。
暖かくて優しすぎて、途中何度も泣けてきそうになった。
「こつこつ、ゆっくり」
リフレインされるこの言葉が、私自身に向けられているような気がして。
「クリエーター」が、その価値観と生き様を持って、後世に形として残す「仕事」
そんなことをぼんやりと考えつつ、パンフレットに見入っていると、奥様の誕生日が亡き母と同じだったのを見つけた。
そうか〜〜メッセージだったのかもね。
ありがとう。
人生フルーツ
公式サイト