巧みな仕掛けで
最初から最後まで何が起こっているのか
全くわからない
『フロッグ』 (2021)
(原題は“ I See You” )
“フロッグ”って一体何!?
冒頭から奇怪なシーン!
林道を自転車で駆け抜ける少年の体が
ふわりと浮き上がる
まずは情報を入れずに観てほしい!
真相に気づけたら天才かも
ハーパー家では
妻ジャッキーの浮気発覚により
息子コナーが怒り、ろくに口をきかない。
父親グレッグはそんな息子を気遣い
平静を装っているが
実際は息子以上に怒っていた
ジャッキーは自分の行為を悔いて
その苦悩から薬を服用していた。
そんなギクシャクした家の中で
奇妙なことが立て続けに起こる。
階段の壁に並んでいた家族写真の1枚が
額から無くなっていることに気づくグレッグ。
グレッグは妻からの電話にイラつき
携帯を投げつけて窓ガラスを割ってしまう。
窓外に見えた屋根の上に
妻のマグカップが置いてあり
見に行くと中には吸い殻が入っていた。
コナーが隠れて吸っているのか
街では、冒頭の10才の少年を含む2人が
消息不明となっていた。
実は過去にも6人の少年が犠牲となる
連続誘拐殺人事件が起きていた。
グレッグは刑事であり
警察署長から
過去に事件を担当したスピッツ刑事と共に
捜査をリードするよう要請される。
ジャッキーが帰宅すると
キッチンの引き出しが開いており
銀のカトラリーがすべてなくなっていた。
物音がして2階に上がると
見知らぬ黒人男性がいて声を上げる
男は窓ガラスの修理に来たと言う。
「感じのいい娘さんが応対してくれた」とも。
この家には娘はいないはずなのに
少年の失踪現場では
過去の事件と同様に緑のアーミーナイフが
見つかりスピッツ刑事は絶句。
15年前スピッツが逮捕した小児性愛者の犯人は
今も服役中だった。
真犯人が他にいたのか!?
もしくは模倣犯の犯行なのか!?
当時、誘拐されたが逃げ出して
助かった少年が2人いた。
そのうちの1人に話を聞きに行くと
彼は心に深くキズを負ったまま成長し
とても話ができる状態ではなかった。
それほど恐ろしい体験をしたということか
ハーパー家では
電気製品の誤作動が起こるようになる。
ふいにテレビの電源が入り
少年たちの行方不明のニュースが流れ
リモコンで消しても、またすぐについたり。
無人の部屋でパソコンが作動し
ゲーム画面が映し出されていたり。
逃げ出したハムスターを
グレッグが追いかけてクローゼットに入ると
扉が閉まって閉じ込められたり。
ジャッキーの浮気発覚以来、
居間のソファで寝ていたグレッグに
今日は2階で寝るようにジャッキーが頼むと
「なら客室で寝る」と2階に上がり
睡眠薬を飲んで眠ったグレッグが
目覚めるとシーツも服も濡れていた。
夜尿症になったのか…
朝、浮気相手が訪ねてきて焦るジャッキー。
昔からの知り合いの男らしいが
挙動不審で正常には見えない。
妻ジャッキーにしてもまるで老婆
(見終えてからヘレン・ハントだとわかった)
2人がもめていると頭上から
マグカップが飛んで来て男の頭を直撃
出血がひどく、あとで病院に送るからと
人目につかない地下室で休ませる。
部屋で身支度をしているジャッキーに
男のスマホから電話がかかってくるが
無言で、音楽が聞こえてくる。
居間のレコードの音だと気づき
電話の相手は室内にいると悟る。
そこに現れたコナーをあれこれ問いただすが
何のことかわからない様子で否定する。
コナーを学校に送り、戻ってみると
男は地下室で撲殺されていた
帰宅したグレッグに助けを求めたジャッキー。
なぜ救急車を呼ばなかった?と
責めるグレッグに
「コナーの仕業だ」と朝の出来事を説明すると
グレッグは激高
ふたりで遺体を車に積み運び出す。
夫婦が山で遺体を埋めている頃
コナーのパソコンに
『“フロッキング”を知っているか』
というメッセージが表示される。
その時、コナーの背後には
カエルのマスク🐸を着けた人物が
夫婦が遺体を始末して戻ると
浴槽でコナーが縛られているのを発見
グレッグは
ジャッキーにコナーを病院へ連れて行かせ
家に潜んでいるであろう犯人を
拳銃を手に 探し始める。
2階に向かう階段の壁の額からは
家族写真がすべて消えていた。
突然レコードの音が鳴り響く。
レコードを止めた時
背後に忍び寄っていたカエル面の人物が
斧で襲いかかって来る。
***☟ネタバレします***
その幾日か前のこと
ハーパー家に忍び込んだ若者がいた
ミンディと彼女を撮影する男アレック。
2人は留守中の家の中を見て回り
人目につかない屋根裏部屋を見つける。
住民にバレないように寝泊まりし
食事も家にあるものを拝借するのが
“フロッキング”だと言う。
(ただの犯罪行為としか思えないけどね)
そのドキュメンタリーを撮影して記録する。
アレックにとっては初めてのことで
ミンディにやめろと言われても夜中に歩き回り
居間で眠るグレッグの顔を
クローズアップして映したり
朝、屋根の上でタバコを吸ったり
Wi-Fiを操作してスマート家電を遠隔操作したり
それらの行為は
どんどんエスカレートしていく。
グレッグをクローゼットに閉じ込めたり
客室で眠るグレッグの上に立ち放尿もした。
とんだイカレ野郎だった。
***さらに☟ネタバレします***
地下室でミンディは
男がバッドで撲殺されるのを目撃する
凶器を自分の車に隠し、何食わぬ顔で
スピッツ刑事の車に乗り込んで行ったのは
グレッグだった
さらにミンディは
アレックがコナーを襲うのを見て
その異常さに驚き
警察に通報しようとするが
アレックに突き倒され、気を失う。
グレッグはコナーを縛り浴槽に入れ
石鹸に緑のアーミーナイフを突き立てる。
グレッグの車にミンディを乗せて
家を出て行こうとした時
グレッグとジャッキーが帰って来る。
ジャッキーがコナーと病院に向かうと
グレッグは(ミンディを乗せた)車で出ていく。
目覚めたミンディは車の中だと気づく。
そばには男を殴った時のバットや
子供のシャツなどがあった。
停車し、グレッグが降りて姿を消すと
ミンディは警察に通報するが
電波が悪く途切れてしまう。
林の中に隠されたトレーラーハウスがあり
その中には2人の少年が監禁されていた。
(アホなのか)助けようとするミンディ。
(当然!)背後からグレッグに襲われる。
グレッグはミンディの持ち物の
ビデオカメラを再生し
フロッキングの事実を知る。
グレッグは家にミンディを連れ帰り
え゛ーっ!
目覚めたミンディを立たせて射殺
手に銃を握らせる。
もう一人いる《フロッグ》を探し出し
口封じするつもりのグレッグ。
アレックはレコードのリモート操作で
グレッグを誘導し、斧で襲いかかったが
格闘になり倒される。
グレッグはこう“筋書き”を考えた。
誘拐犯がその捜査をする刑事の家を襲い
息子を拉致しようとしたのを阻止し
格闘の末に肩を刺されるが、射殺したと。
そう聞かされても動じないアレックは
ミンディの手から拾い上げた銃を手に
立ち尽くし 涙を流していた
アレックはグレッグの正体を知っていた。
なぜなら…
***☟真相はこうだった***
駆けつけたスピッツ刑事は
その様子を見て迷わずアレックを撃つ。
倒れたアレックはその顔を見て
「スピッツ刑事」と呼びかけた。えっ!?
実はアレックはかつて誘拐された少年の
ひとりだったのだーー
“フロッキング”という不快な遊びによって
完全に覆い隠されたアレックの真実。
見直せば、なるほどなヒントだらけなのに
気づきようがない巧みなキャラ設定!
おもしろかったーーー