久々にMナイト・シャマラン
ハズさなかった
『オールド』 (2021)
絶望の果てに感動 もあり
“謎解きタイムスリラー”って
解けるハズないでしょ!
しかるべき業界の人ならひょっとして気づく?
いやいや、解けても結局死ぬのよー
リゾートホテルの宿泊客が
特別に招待されたプライベートビーチ。
そこでは30分で通常の1年が過ぎる
つまり1日で約50年!!!
逃げ出そうとすれば死ぬ
逃げ出さなくても明日にも寿命が来るし!
どうする!? どーする―!!!
ビーチへの送迎バスで乗り合わせた2家族
この旅行が終われば離婚するつもりの
ガイとプリスカ夫婦と
6才の息子、11歳の娘の4人家族。
心臓外科医チャールズと妻クリスタル
幼い娘カーラと祖母アグネスの4人家族。
***☟次々に起こることを簡潔にネタバレ***
ビーチに座っていた人気ラッパーは
「血液が固まりにくい病気なんだ」と言い
鼻から血を流していた。
泳ぎに行って戻らないという友人女性が
死体で流れ着く。
彼女は多発性硬化症だったという。
気づくとその死体はすでに白骨化していた
電波が届かずホテル連絡できない
ビーチから出ようとするともれなく
凄まじい頭痛に襲われ気絶してしまう。
祖母アグネスが胸の異変を訴えたと思ったら
急激に悪化し亡くなる。
連れていた犬も
間もなくして
ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル) とプリスカは
子どもたちの姿に驚く
6才と11才だったのに…水着ぴちぴち
***☟エピソードまだまだネタバレします***
プリスカはお腹に抱えていた3㎝ほどの良性腫瘍が
メロン大にまで肥大し、緊急摘出手術を行うが
切ってもすぐに閉じてしまうという現象に手こずる。
幼かったカーラがトレントと少しの間
どこかに行って戻って来たら…
ぎょぎょぎょカーラのお腹が!
無人島に2人きりじゃないぞー
そんな知識いつの間に…動物的本能てか?
慌てる大人たちを前に
一気に産気づき出産
乳児は急激な変化に耐えられず死亡
そんな状況を理解できない
医師チャールズは統合失調症がひどくなり、
奇行に走るようになる。
妻クリスタルの低カルシウム血症も
ますますひどくなっていた。
「こんなところで青春を終えたくない!」と
崖を登り始めたカーラは気を失い転落死。
ビーチに招待された家族は
誰かが何らかの病を抱えていたのだ。
遠くからこちらを監視している人影があった。
次々と恐ろしい終焉を迎える。
ガイとプリスカ夫婦は老化を自覚し
互いの本心を語り合う。
そして最後は穏やかに老衰で亡くなる。
残されたトレントとマドックスは50代になっていた。
あるヒントをもとに海からの脱出を試みるが
マドックスの服が珊瑚に絡まってしまい
***☟真相はこうでした***
プリスカは、薬を購入した際に
レシートに載っていた広告を検索して
このリゾート地を知ったと言った。
実はホテルを経営しているのは製薬会社だった。
宿泊客はそれぞれに合った
ウェルカムドリンクで迎えられるが
それは個別に処方された新薬であり
時間が急速に進むビーチを利用して
治験の結果を急いで得ようとしたのだ。
製薬会社の研究員たちは人々の様子を
冷淡に観察していた。
恐ろしい。
中には効果が認められた薬もあった。
ホテルのスタッフが次のターゲットに
ウェルカムドリンクを勧めようとした
その時!それを制止する者が現れた!
トレントだった
ビーチで見つけたノートには
これまでの失踪者の名前が記されており
それを確認した警官がホテルに捜査員を派遣し
製薬会社の悪事は露見する。
急速に時間を進めるビーチについては
謎のまま
マドックスを演じたトーマシン・マッケンジーは
『ジョジョラビット』(2019)で
スカーレット・ヨハンソン演じる母親が
家の隠し部屋に匿っていたユダヤ人少女役。
ナチスに忠誠を誓う少年ジョジョ。
反戦を訴えて亡くなった母親が
自宅に匿っていたユダヤ人少女と終戦を迎え
外に出た時、少年の心は変化していた。
コミカルに描いた不思議な反戦映画
監督自身がヒトラーを演じている。
さらにトーマシン・マッケンジー主演の
『ラストナイト・イン・ソーホー』 (2021)
『ベイビー・ドライバー』エドガー・ライト監督作
ホラーなのかミステリーなのか
妄想か現実か、謎の現象にイライラ
最後に怒涛のように襲いかかる恐怖で
真実が明らかになりスカッとさせてくれる
60年代のレコードをトランクに詰め込んで
イギリスの片田舎から
ロンドンの服飾学校に入学したエロイ―ズ。
母も過去に夢を追ってロンドンに出たが
心を患い、命を絶っていた。
エロイ―ズには亡き母の姿が見えるが
それは特殊能力なのか、遺伝的な何かか?
都会的で奔放な同級生たちになじめず
ソーホーにある老婦人が住む屋敷の
一室を借りることになったエロイ―ズ。
音楽を聴きながら眠りにつくと
夢の中で
60年代の華やかなロンドンにタイムスリップ。
歌手を夢みる魅惑的な女性サンディと出逢い
体も感覚もシンクロしていく。
刺激的な世界に魅了されたエロイ―ズは
そのインスピレーションをデザインに活かし
評価を得ると同時に
同級生からの妬みも買うようになる。
サンディはジャックという男と恋に落ち
成功への足掛かりになるかと思いきや
場末のショーダンサーとして働かされ
やがて男たちの夜の相手をするよう強いられる。
サンディの絶望と恐怖が
エロイ―ズに幻覚を見せるようになる。
サンディが相手をした顔のない男たちが
執拗に迫って来るのだ。
ああっ、もうその亡霊たちのシーンが
繰り返され、うんざりしてくる
ついには
サンディがエロイ―ズの部屋のベッドで
ジャックに首を切り裂かれる夢を見る。
エロイ―ズは警察に行き
過去に自分の部屋で殺人事件があり
その犯人がジャックだと訴えるが
薬の使用を疑われ、取り合ってもらえない。
***☟恐怖の真相をざっとネタバレします***
実は家主の老婦人がサンディであり
生きていたのである!
部屋に連れ込んだ男たちを次々に殺して
隠していた。
エロイ―ズが警察に相談しに行ったことで
聞き込みに来たという。
自分の部屋に逃げ込んだエロイ―ズの前に
男たちの亡霊が現れ助けを求めてくる。
追って来た老婦人は
ジャックの亡霊を見て取り乱すが
サンディの頃の自分を取り戻し
エロイ―ズに逃げろと言う。
そして炎に包まれ最期を迎えるのだった。
全く予想しなかった真相が
ラストにドドド―っと明らかになり
事件解決ストーリーだったことに気づかされる。
エロイ―ズを救おうとする
たった一人の友だちは何も分からず
いきなり刺されてしまうし
とにかく老婦人の突然の変貌が
おっそろしいの一言
老婦人役のイギリス女優
ダイアナ・リグは
この映画の公開前の2020年に亡くなっている。
ドラマ『おしゃれ(秘)探偵(1965-)』主演で
一躍スターになり
『女王陛下の007(1969)』でボンドガール
『ゲーム・オブ・スローン(2013-)』で
貴族女性の政治家を演じていた。
合掌
エロイ―ズの前にたびたび現れる怪しげな老人を
「サンディを殺した男では?」と疑うが
確かに過去と未来をつなぐ存在だった。
演じているのはテレンス・スタンプ
監督が影響を受けたという『コレクター(1965)』で
女性を監禁する主人公を演じている。
その映画 観たいな~