第11号 嵐が丘2 読了
1842年刊行
作者 エミリー・ブロンテ
あらすじ
後編では、ヒースクリフとエドガーの愛した女性
キャサリンが産み落とした娘のキャサリンと
ヒースクリフが育て上げた
リントン家のリントンJr.が軸になったお話。
(なまえがややこしいのよ)
そして、この2人が恋愛関係に落ちるのですが
どっちも性格最悪です。
虚弱体質で自分大好きな男
お姫様気質で人を小馬鹿にした娘
まぁ、お似合いっちゃお似合い。
そして、最後の最後には
ロックウッドが嵐が丘の館で
幽霊を見た!!
という、
嵐が丘1の冒頭の話につながって
そこではじめて、
あ、そうだった
これ、幽霊出たって話だった
(ホラーではないけど)
と思うところ。
だから、恋愛話だと思って読むと
心美しくない登場人物の見下げ果てた言動や
いがみ合いながら暮らす場面に
がっかりしたり、苦痛だったり
そんなところに挫折します。
人間的な視点で見てみればこそ、
初めてこの作品の本質に迫り
楽しめるのかも。
私自身が浅はかで文学者でもないので
そこまでこの作品を掘り下げて理解することは
残念ながらできませんでしたが
生まれついた環境、教育での人格形成について
深い憎しみと悲しみを植え付けられた人間が取り憑かれる
復讐心と狂気
思い通りにならない恋愛においての愚行
暴力と恐怖に支配される心理
課題がてんこ盛りすぎて、
サッと過ぎていくべきではないところな気もしながら
読み進めてしまった感もあります。
嵐が丘イラスト/パーシー・タラント
識字率
もちろん、1800年代という時代背景も含めた
女性蔑視や相続問題
そして、この本で何度も触れられているのが
識字のできない人間に対する侮蔑的な発言。
日本の識字率はほぼ100%という中で
教育が行き届かないという理由から
読み書きができない人がいるというのは
戦時中の話であり、
日本国内でのほぼというのは
戦争経験者ほどのご高齢の方の中にいるというお話。
らしいです。
(障害を除く)
近年の若年層ではできて当たり前という観念から
あまり、身近な問題ではないところもありますが
実際には識字に問題を抱えている人もいる
ということを再認識すべきだなと思いました。
読後、
このような差別や問題を深く理解するには
やはり、未熟な私には
何度かこの作品を読見込みながら
お勉強しつつといったところかな
という思いもあったのですが
一回でお腹いっぱい!
と言った感想が正直なところでしょうか(笑)
本書、「嵐が丘」発表当時は
もちろん問題作扱いされ、
批判が多かったと言われますが
今この作品が支持される理由も少しわかる気もします。
時を経て、時代がやっと追いついたと
いうべき代表作かなと思います。
ヒースの花
この物語に登場する人物
ヒースクリフ
heath 荒野
cliff 崖
名前が荒々しい、、、
そのヒースという単語、もう一つ
花を表す名前として使われています
最後のお墓のシーンでも目に浮かぶヒースの花
和名はエリカ
洋名ではヘザーと呼ばれていますが
ヘザーは単体での植物。
ヘザーが生い茂っている荒野を
初めてヒースと呼ぶそうです。
荒野の荒地でも咲くことができる
赤紫色の花
荒々しくも強い花は
嵐が丘の代名詞でもあり
2人のヒロイン キャサリンを思い返します。
画像Wikipediaより
次回のご紹介は
第12号 濹東綺譚
二部作で
私は「つゆのあとさき」の方が好きでした
第1号 高慢と偏見1
第2号 嵐が丘1
第3号 源氏物語1
第4号 若草物語
第5号 マンスフィールド・パーク1
第6号 ジェーン・エア1
第7号 アンナ・カレーニナ
第8号 高慢と偏見2
第9号 細雪
第10号 ボヴァリー夫人
第11号 嵐が丘2
第12号 濹東綺譚
第13号 源氏物語2
第14号 マノン・レスコー
第15号 人間失格
第16号 カラマーゾフの兄弟
第17号 レ・ミゼラブル