おはようございます。
今日も岡山、倉敷からの配信です。
中谷先生のお話についての皆様の
コメントが秀逸で嬉しくなってしまいます。
よい話はよい話を生み出す典型ですね。
いろいろ考えさせられることも多く
刺激を受けます。
誠にありがとうございます。
さて、昨日いつも楽しみにしている
雑誌『致知』8月号が届いていました。
まだ読んでいる途中なのですが、
その中で琴線に触れたお話を
今日の良い言葉としてシェアしたいと
存じます。
占部賢志先生の、
「日本の教育を取り戻す」という
連載記事からのお話です。
お楽しみ下さいませ。
それでは今日も一日、
愛と光と忍耐で
喜びに満ちた日となりますよう
お祈り申し上げます。
コメント楽しみにしております。
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流れ星に願いをかけたら叶うのか
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【占部】大事なことは、
子供との間にどんな言葉の遣(や)り取りを
するかです。
ところが、学校現場での教師と生徒児童
との遣り取りは聞くに堪(た)えない応答が
多いように思います。
とにかく言葉が軽すぎるし、
ステレオタイプの話ばかりです。
教育とは本来、対話の文化なのです。
それがすっかり荒廃(こうはい)しています。
【教師B】耳が痛い話です。
お手本になるような実例があれば
ご教示頂くと有り難いのですが。
【占部】私は言葉の力を信じています。
しかし、ほめているようで実のところは
お追従やおべんちゃらだったり、
的確な批評のつもりが非難や
悪口雑言(あっこうぞうごん)に
過ぎなかったりしているケースが実に多く
そんな状況下で吐き出される言葉に
人を動かす力はありません。
そこには、氣に入って貰おうとか、
相手にダメージを与えてやろうとかの
邪念があるからです。
では、
どんな遣り取りが人を感動させるのか、
「全国子供相談室」での
絶妙な応答を紹介しましょう。
まず子供から
こんな電話がかかってきました。
「流れ星に三回願いをかければ、
願いが叶(かな)うって本当ですか」
子供は時に思いも寄らない
質問をするものです。
この世の森羅万象(しんらばんしょう)に
関心を向けるのが子供です。
それは尽きることを知らない。
どうして空は青いの、
僕はどこから生まれたの、
なんで飛行機は飛べるの、等々。
この時の回答は
その道の一流の先生でした。
非科学的なことは言えないし、
かと言って子供の氣持ちを
ぶちこわしてもいけない。
どう答えたか。こんな感じでした。
【先生】流れ星、見たことある?
【子供】あります。
【先生】一瞬だよね。
【子供】はい。
【先生】あんな短いあいだに願いを
言えるとしたら、
そのことをいつもいつも
思っているからだよね。
【子供】はい。
【先生】そこまで思い続けている人の
願いなら、きっと叶います。
【子供】はい。分かりました。
ありがとうございました。
たったこれだけの遣り取りでしたが、
私はうなりました。
とっさにこういうキラリと光る言葉で
応ずることができるのは、
言葉を大切にしているからです。
今、子供との関わりのなかで、
失われているのは、
このような対話の文化なのです。
こんな答えが返ってくれば心は弾みます。
生きていく希望が開ける心地さえします。
おそらくその子供もそうだったに
違いありません。
占部賢志(中村学園大学教授)
(『致知』2014年8月号 連載「日本の教育を取り戻す」より