ベストを尽くす そのベストを疑う | 境目研究家@ありさん。

境目研究家@ありさん。

世の中色々な境目があります。成功する人しない人、うどんの関東ダシと関西ダシ、氣になる境目研究します。

【今日の良い言葉 558 (192)】

おはようございます。

今朝も倉敷からの配信です。

今日もまたこれまでの成果を
社長に報告する報告会。

奇跡を皆と共有するために
頑張ります。

「きょうという日は
人生で最も重要な一日だ」

ですから。(^^)

今日の良い言葉は
『致知』最新刊8月号の致知随想より。

FBで師匠と仰いでいる
鈴木七沖さまの編んだ本、
『「また、必ず会おう」と誰もが言った』
の著者であられる、喜多川泰氏の
エッセイです。

凄く縁を感じましたので
シェア致します。

今日もまた朝から勇氣を頂きました。

それでは皆様の今日一日が愛と光と忍耐で
喜びに満ちた日となりますよう
お祈り申し上げます。

コメント楽しみにしております。

───────────────────────────────────

ベストを尽くす
そのベストを疑う

───────────────────────────────────

学習塾の役割とはなんでしょうか?

お金をいただいて、
少しでもいい学校に合格させたい
という世間のニーズに応える。

それが一般的な存在目的でしょう。

僕もかつてはそのような大手学習塾の
一講師勤務していました。

大学卒業後、
とにかく自分が一番いい先生になろうと
一所懸命技量を磨き、
数年間の修業時代を経て、
百何十人といる先生の中で
五本の指に入ると言われるまでになりました。

生徒たちからも人氣を得て、
若かった僕は少しばかり
有頂天になっていたように思います。

ですが、そんな時、
僕の教え方が上手になればなるほど、
子供たちは何も考えないで座っていても
点数が取れるようになってしまうことに
氣づかされました。

さらには、卒業生たちと道で会って話をすると、

「いや、もう全然勉強してないです」
「高校卒業したら大学行かないで、
専門学校行きます」

と、完全にやる氣を失っている子が
少なくなかったのです。

実績を求める塾としては
本人が希望している学校より
少しでも難易度の高いところを受けさせようと
無理にでも指導する。

それゆえ、当の本人にとって、
勉強がやりたくてたまらないものから、
やらなければならないものに
成り下がってしまったのでしょう。

そういう状態では、
受験が終わると進んで勉強することはありません。

果たしてこれでいいのだろうか。

僕は点数や成績に偏重した教育に対して
疑問を抱くようになりました。

人間を突き動かす原動力には
二つあるといいます。

一つは憧(あこが)れ、
もうひとつは不安や恐怖です。

前者を原動力に行動し、
その結果として志望校に合格する場所をつくりたい──。

そう思い、平成十年、二十七歳の時に、
笑顔と優しさ、挑戦する勇氣を育てる学習塾
「聡明舎(そうめいしゃ)」を
横浜に創立しました。

現在、全三校舎で二百八十名の小中高生を
預かっていますが、
最初に集まった生徒は僅(わず)か九名。

これまでの十五年間を振り返ると、
常に思うようにいかないことの連続であり、
全部が試練でした。

そんな中で、どんなことが起こっても
「おお、そう来たか」と、
目の前の状況を楽しみながら、
かつ必死にもがいているうちに
いまに至っているというのが実感です。

僕が授業において重視していることの一つは

”生きる力”を育てるということ。

具体的に言えば、
自ら物事に打ち込むやる氣を持続させることです。

やる氣になるのは
あまり難しいことではありません。
先生の話を聞いたり、
本を読んだりすれば、
少なからず
「よし、頑張ろう」
という氣持ちにはなるでしょう。

ここで大事なのは、
感情と行動の橋渡しをきちんとしてあげることです。

そこで僕は
「勉強やる氣になりました」
という生徒に対して、
次のような話をしています。

「でも、一番大事なのは何かって言ったら、
家に帰って最初に座る場所を
自分の机の前にすることだよ。

そこで、お母さんに
『ご飯先に食べちゃって』
と言われて、
ご飯を食べながらテレビを見たら、
そのやる氣も絶対どこかにいっちゃうからね」

人間は一回始めたことを
途中で止(や)めたくないという
習性があります。

別にテレビが好きで見ている
わけではないけれども、
一回見始めたら切るタイミングが難しい。

だからこそ、
家に帰った瞬間に、
他のすべてのものを断ち切って、
自分の机の前の座る。

それを実践するか否かが
人生の明暗を分けるのです。

僕は生徒にこうも言います。

「どうせ生まれてきたんだから、
自分の無限の可能性にビックリする経験をしよう」

人間は誰しも
「頑張れる自分に出逢(あ)ってみたい」
という氣持ちを心のどこかに抱いている
ものだと思います。

グータラしている人も
グータラしたいと思っているわけではない。

何かにのめり込んでいる
カッコいい自分や志強く、
やると決めたことを毎日やっている自分。

そういういまの自分ではない、
まだ出逢ったことのない自分に
本当は出逢いたいと思っているのです。

そういう自分と出逢うためには、
失敗しても途中で諦(あきら)めず、
笑顔で挑戦し続けるしか道はありません。

これは僕自身の人生を
振り返ってみての実感です。

「失敗することは恥ずかしいこと、
カッコ悪いことではない。

転んでも立ち上がり、
また転んでも立ち上がることが尊い」

そのことを身を以(もっ)て
生徒たちに示すため、
幼い頃、読書嫌いだった僕は
三十五歳の時、塾経営の傍ら、
作家の道に挑戦することを決めました。

最初の本を出したときは全(まった)く売れず、
買ってくれた人は知り合いばかり。

講演会を企画した時も
五百人の会場に集まったのは
僅か十一人でした。

他にもたくさんの失敗を
繰り返してきましたが、
その中で二作目の
『君と会えたから・・・・』
が八万部を超えるベストセラーとなり、
十万部を突破した
『「また、必ず会おう」と誰もが言った』
は今夏映画化されることになりました。

僕の信条は

「ベストを尽くす。
そして、そのベストを疑う」。

目の前のことに真剣に取り組むと同時に、
これがいまの自分にできるベストだろうかと
常に問いかけることによって、
人生は絶対的に楽しくなるし、
必ず新しい扉が開かれると確信しています。

これからも生徒たちの憧れの存在であり続けるために、
昨日の自分を捨て、
きょうの自分で勝負していく生き方を
貫いていきたいと思います。

喜多川泰 (きたがわ・やすし=聡明舎代表取締役、作家)

(月刊『致知』2013年08月号 致知随想より)