その生を楽しみ その寿を保つ | 境目研究家@ありさん。

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世の中色々な境目があります。成功する人しない人、うどんの関東ダシと関西ダシ、氣になる境目研究します。

【今日の良い言葉 553 (187)】

おはようございます。

本日は久しぶりに普通の土曜日です。

タイに2ヶ月いて1.5日おいて中国。

その中国から帰ってきていきなり
社内報告の資料づくりで土日の出勤でしたので。

しかし成果があるとどんな苦労も
大した苦労ではありませんね。

報われるときが必ず来ますもの。

今日は久しぶりに氣の置けない仲間たちとの
集いがありますのでこれから大阪に移動致します。


今日の良い言葉は
『致知』最新刊8月号が届いていたので
そこからのシェアです。

『致知』が届いて小生が一番最初に読む記事が
総リードです。

藤尾社長のその号に込めた思いが
凝縮されているからです。

8月号も珠玉のエッセイでした。

素敵な言葉の玉手箱。
お楽しみください。

それでは皆様の今日一日が愛と光と忍耐で
喜びに満ちた日となりますよう
お祈り申し上げます。

コメント楽しみにしております。

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その生を楽しみ その寿を保つ

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楽其生 保其寿。

中国の古典『忠経(ちゅうきょう)』
にある六文字である。

その生を楽しみその寿(じゅ)を保つ──
本誌にゆかりの深い新井正明氏は
この言葉を好まれ、よく口にされた。

その生を楽しむとは自分の生業(なりわい)
を楽しむということ。

仕事を楽しむことができれば、
自(おの)ずとその寿を保って長生きができる。

新井氏は言葉の意味をそう説明していた。
事実、氏は言葉どおりの人生を生きられた。

二十六歳の時、ノモンハン事件で負傷、
右脚切断、隻脚(せっきゃく)の身となられた。

「人より遅く来て早く帰ってよろしい」
という上司の言葉を有り難く受け止めながらも、
人より早く出社し、人よりも遅くまで働き、
社長、会長としてすぐれたリーダーシップを発揮、
社を業界上位に躍進させ、
数え九十二歳までその寿を保たれた。

その新井氏が生涯の心訓されたのが
安岡正篤(まさひろ)氏の
「健康の三原則」である。

曰(いわ)く、

「一、心中常に喜神を含む──
どんなことにあっても心の奥深いところに
いつも喜ぶ心を持つ。

二、心中絶えず感謝の念を含む

三、常に陰徳を志す」

「その生を楽しみその寿を保つ」ために
忘れてはならない三原則といえよう。

この六文字について、
新井氏には思い出がある。

氏が静岡支社長の時期、
安岡師に二人の弟子がいた。

一人は農業をしている人。

日本は敗戦で混乱状態になったが、
こういう時だからこそ
安岡師の教えを広めなければと、
自分も学び、人にも熱心に説いて回った。

もう一人は金物屋さん。

師の教えには熱心だが、
人に説くようなことはせず、
一所懸命家業に打ち込んでいた。

これに対し、
「商売ばかりやっていて、けしからん」
と農業の人は腹をたてた。

人に師の教えを説くべきだ、
というわけである。

安岡師は言った。

「金物屋さんはやはり金物屋さんとして
立派に商売をやらなければならない。

だから、金物屋の主人として
一所懸命やるのは正しいことだ。

その上で道を求めるということが大切だ」

活学を説き続けた人の明快な言である。

『致知』は今年九月発行の十月号で
創刊満三十五周年になるが、
思えば、『致知』に深いご縁をいただいた方たちは
皆一様に、この六文字を堪能(たんのう)した人生を
生きられた人たちであることに思い至る。

森信三先生、九十七歳。
平澤興(こう)先生、九十歳。
坂村真民(しんみん)先生、九十六歳。
安岡正篤先生、八十六歳。

それぞれの一道に徹し、
その一道を楽しまれた方たちである。

古人の跡を求めず、
古人の求めたるところを求めよ──

松尾芭蕉の愛した南山大師の言葉である。

私たちもまた先人の求めたるとことを求めて
人生を生きたいものである。

ドイツの大文豪ゲーテもまた、
人生を楽しみ、八十二歳の寿を保った人である。

そのゲーテが
「処世のおきて」と題し、
「氣持ちのよい生活を作ろうと思うなら」
という前置きをつけて遺した言葉を記す。


  済んだことをくよくよせぬこと
  滅多なことに腹をたてぬこと
  いつも現在を楽しむこと
  とりわけ人を憎まぬこと
  未来を神にまかせること

洋の東西を超えて、
人生の達人の言葉はシンプルで、深い。



(月刊『致知』2013年08月号 特集「その生を楽しみ その寿を保つ」総リードより)