「人間の運命を決める“命の器”」 | 境目研究家@ありさん。

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【今日の良い言葉 302】

おはようございます。

学生の時、古本屋で『命の器』というエッセイを買いました。
書棚にあるその本のタイトルに強く惹かれたからです。
著者は宮本輝氏。
とても共感のお話でそれから宮本ワールドにはまり、
『優駿』、『泥の河』、『螢川』と小説を読みまくり、映像化された映画を見まくりました。

大学が大阪であったこともあり、宮本氏の話の舞台に大阪が多く登場していたので実際に現地に行ってみたりして、小説の世界を肌で感じたりしていました。
 
あれから23年経って『致知』11月号に宮本輝のインタビューが載っていて、それも『命の器』の話をされている。
なんだかとても深い縁を感じました。


この中で宮本氏もおっしゃています。

”出会いというのは、偶然ではないと思うんですね。”

本との出会いも、人との出会いも決して偶然ではないと思います。


今日の良い言葉は、
『致知』11月号から、宮本輝氏のインタビュー記事をシェアいたします。(人間力メルマガからの引用)

とても素敵なインタビューです。是非『致知』にて全文をお楽しみください。


皆様、上氣元で充実の日曜日をお過ごしください。
 
 
コメント楽しみにしております。
 
 
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「人間の運命を決める“命の器”」
 
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【記者:宮本作品には波瀾万丈な生い立ちからくる
    「影」のような部分が感じられません。
    そういうものは昇華されたのでしょうか】


人よりいろいろな経験はしてきたかもしれませんが、
僕自身は深刻になったり、
人生を悲観することはなかったんですね。

そしてどこかに


「十年先か二十年先か分からないけれど、
必ずこれが自分の宝物に替わる」


と思っていたところがありました。


【記者:渦中にある時から】


そうです。まずもってパニック障碍になって
会社を辞めざるを得なかったけれども、
それがなかったら小説家になっていないでしょう。

青年期は混乱していた家庭から逃避するように、
文学の世界へ浸っていきましたし。

結核病棟に放り込まれて死んでいく人を何人も見たことも、
病棟での人間ドラマも、人生のあらゆることが
後の作品に生かされていると思います。


【記者:人間における運や縁というものをどのようにお考えですか】


出会いというのは、偶然ではないと思うんですね。
これは動かしようのない一つの法則性があって、
どんな人に出会うかは自分次第なんですよ。


そう思いません? 

運の悪い人は知り合う人もやっぱり運が悪いですよ。
やくざの下にはやくざが集まる。
性悪女は性悪男とくっつく。
これは不思議なものです。

仮に性格のいい人と付き合っても、次第に離れていきます。

だから「嫁さんは立派だけど、亭主はねえ」
なんていうことはなくて、
家庭の中に入ってみたら似た者同士ですよ。

どちらか一方だけが悪いなんていうことはない。


それを分かりやすい言い方をすると、
「命の器」だと僕は言うんです。

人と人は、その人の最も核となるもの、
基底部を成している傾向性が共鳴し合う。

要するにどんな人に出会い、縁を結んでいくかは、
その人の「命の器」次第ということです。
そして、その出会いの質を変えるには、
自分が変わるしかないんです。


【記者:自分の「命の器」以上の出会いも縁もないと】



と思います。

そういう意味では、今回の作品もそうですが、
僕は善き人たちが繋がり合っていくことで、
ささやかであっても人間的に成長したり、
小さな幸福や幸運の連鎖が起こるような、
そんな作品を書こうと思ってずっとやってきました。
 
 
 
宮本輝 (作家)



(『致知』2012年11月号 特集「一念、道を拓く」より)