芝居とは何か。今年俳優30周年を迎える今も分からない。が、決めているのは「ウソは1つにすること」だ。「芝居自体がウソだから、そこにウソを重ねてはいけない。考えて役になりきり、いかにリアルに感じてもらえるかです」
そんな彼の主演した、稲垣足穂(たるほ)原作の白黒映画「彌勒 MIROKU」(林海象監督)が完成した。京都造形芸術大の学生とプロが作品を作るプロジェクトの第4弾,ジプシエール。同大学で教鞭をとる林監督が温めた“足穂文学”初の映画化となる。
足穂が自身を投影したとされる主人公、江美留の青年期を演じた。宇宙的郷愁の漂う足穂文学。独特の世界観や原作通りの文語体の台詞を前に、最初は難しく考えすぎたそうだが、監督にヒントをもらい、役柄をつかんだ。
「夢は現実したが、そこから苦悩が始まる。それは誰もが自分に置き換えられる。金や権力で解決できないものはきっとある、と。心の扉が開きました」
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彼もそうだった。昭和58年、映画で主演デビュー後、“極貧状態”が続く。「親は、青春の思い出として1作の出演は許してくれただけ。ほぼ勘当状態での上京で頼れなかった」
映画の仕事はなく、時折テレビドラマに出演する日々。俳優、歌手、アイドルと存在を分類されがちな80年代、オーディションに行き、「俳優がミュージシャンの服装をしている」と門前払いされたことも。
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