私の体と心はどっと疲れていたけれど、頭は冴え渡り、結局眠ることは出来なかった。

外が明るくなってきた5時過ぎ、志村はようやくどこかから帰ってきた。

私は子供たちのお弁当を作るためにキッチンにいた。

志村は玄関から寝室に直行し、仕事に行く準備を済ませてからリビングに一瞬ひょいと顔を出した。


それがまた、なんつーか、煎餅?
ほんと冗談抜きで煎餅みたいな顔してたのよ。
あの、鳥山さんとこの海苔巻的なのではなくて、



いやいやいや、
またまたまた、、、

とかって思ったでしょ?


深刻ですよ。私。
ふざけてなんかいません。俄然深刻。
この状況、ふざけてる場合なんかじゃありませんから。あなたも笑ってる場合じゃないわよ!!!
極めて危険な状況ですから。
( ー`дー´)キリッ


でも、私のインスピレーションに煎餅が揺るがない。全然ブレない。もう仕方ない。


煎餅だっつって言うこときかない。










なんか、こんなのじゃなくって、






こっち!!!こっち!!!
これこれ!!!断固これ!!!
なんか、たまり醤油的なほう!!!

こう、なんつーか、先代の味を受け継いで400年みたいな、恐らく8代目あたりが、うちは創業以来醤油継ぎ足し続けてっからよ、つってるぐらいの老舗の雰囲気出してる。いーよ!いーよ!老舗感出てるねえ!!!!みたいな。
あ、うん、お恥ずかい話ですが、うちの主人煎餅なんです。紛れもなく煎餅なんです。ぐらいの煎餅度。



こう、なんていうか、浮腫んで?酒が抜けてなくて?なんか、不摂生からの肌荒れ的なのが悪化して?もう自分のイマジネーション力が豊かだから、もうこうなると煎餅が歩いてるようにしか見えないわけ。




なんなら顔とか描いてみちゃったりして(照)


こうね、前髪とかもちょっと今どきな横流しとかね。アレですけども。






ちょっとノスタルジックに、つって


ちょっと加工とかしてみたりね、つって。

(;゚;ж;゚;)ブッ



ま、そんなわけで、我が家のたまり煎餅は、無言で仕事に出かけていきましたとさ。



さーて、こっからですよ。忙しいのは。

まず、破壊された携帯を持ってきた。
可哀想にメッタメタのバッキバキ。買ってまだ一年未満。保証、確か入ってる。

一応ドキドキしながら電源ボタン押してみた。
うん、点くには点く。けど、真っ黒で真っ白でカラフルな七色の線がシャーってシャーシャーってなってる。で、圧かな、圧なのかな、なんか、もう、これでもかってぐらい、圧が何かを押しまくってる。恐らく、緊急時通話ボタン連打されてる。
高橋名人より早く、もうずっとピポポポパポポポピパピピポポ言ってる。

もう、ウチのが昨日からピピポポパポポうるさくってすいませんねぇ、ほんと、もう、つって謝りたいぐらいピポパポ言ってる。

それを2階の長男のグラフィックボードがそれはそれは豊かなゲーム用ハイスペックPCと繋いでみた。

したらさー、クラウドのやつさー、なんかー、いっちょ前にー、携帯の操作を必要としてるわけー。あたしのiPhone七色にシャーシャーしてんのにー。圧が凄いのにー。電源ONとOFFしかできないのにー。

Orz....


んで、とにかくこの電話番号が生きてないと困る事態が幾つかあるわけですよ。

子供の学校関係もそうだし、学校連絡網のメール配信も届かないとやばいわけなんですが、

最も重要なのが、弁護士の長山先生。
長山先生とは携帯通じてしか連絡取れない。
でもって、長山先生からはいつ連絡が来るか分からない。


こりゃーやばいってんで、閃いたのが、

試験前で取りあげてある次女のiPhone。

おおっ!!!神々しい!!!!


私は次女のiPhoneを持って来るとサイドの小さな穴に針金を差し込んでSIMカードを引き出した。

そして私のバッキバキ携帯からもSIMカードを引き出した。

チェーンジ!!!!

(ΦωΦ)フフフ…


はいー!これで、次女の携帯が私の番号になりましたー。

ε=\_○ノ ヒャッホウ!!


そしてバッキバキ携帯をハイスペックPCの脇に置いて1階に下り、メッタメタの寝室に入って志村の名刺入れをバサバサめくり、Kee君の名刺からKee君の携帯番号をGET!!!!



この、できる女感!!!!!!

ありがとう!!!お母さん!!!!

私をできる女に育ててくれて!!!!!


ε=\_○ノ ヒャッホウ!!

もう今なら抱かれたい女NO8辺りの座も脅かすほどのデキル感!!!

キてる!!!
追い風が吹いている!!!!
あれ、向かい風?
いや、追い風ね。追い風!!!



そして再び2階に駆け上がりKee君に電話を掛けた。


滝汗「Kee君!!!昨日、超やばい事があったんだよ!!!」

ガーン「え!?パパ、何かあったの?」

滝汗「もうね、かくかくしかじか...」


と、夢中で話しまくっていたの。
すごいマシンガントークぶちかましていたわけ。




もうね、完全に向かい風来てたみたい。
知らぬ間に志村帰ってきてた。





全然気づかなかった。