もうピザに降伏宣言したからにはね、後はただただ冷めゆくピザをチラチラ眺めるのみ。気まじぃ。超気まじぃ。もうね、皿とかなんならちょっと肘とか使ってテーブルの端っこに寄せちゃって、あのコーンがね、親の仇とれてないっつって、アピってくんの。もう無かったことにね、ピザなんて最初っから無かったことに。
んでね、お酒も飲めないからドリンクバーなんて精々2杯でお腹いっぱい。
もうね、何もすることがないの。ひーまー。
後はひたすら人間観察。
華金の夜にママ会みたいなのしてるグループもあれば、一人で来てる女子高校生、来ないと分かってる不倫夫を待ってる子だくさん主婦まで、夜のガストすげぇ。とか思っていると、神のお告げか、寺田からLINEが来た。
寺田は何気に結構心配してくれていて、私はこれまでの経緯を説明して、今、1人でガストに居ることを伝えた。
そしたら寺田はこんな事を言った。
私はガストで泣いた。
でも、すごく恥ずかしくて、恥ずかしくて、急いでメニューで顔を隠した。
メニューの影に隠れてスマホ見ながら泣いた。
よりによって、私の座っている場所は店内中腹の壁際で、お店全体を見渡せる場所だった。
80%ピザ残っちゃってんのに、あいつデザート行く気かよってぐらいの猛烈っぷりでまさかのハンバーグのページ見ながら泣いた。
その後も何回かGoogleマップを起動したけど、志村の居場所は分からなかった。
もちろん電話も繋がらなかった。
あと少しで待ち合わせの9時。
もしかしたら、来る?
なーんて期待はコレっぽっちもしていなかった。
それでも私はガストの入口のドアを眺めながら
9時半まで待とう。
来なかったら?
そんなの決まってる。
私は1人でもあのバーに行こう。
そんなことを考えてた。
私の決心は揺るがなかった。