ハートオブスペイサイドの名のもとに/八嶋 | 吉祥寺 whisky house vision 

ハートオブスペイサイドの名のもとに/八嶋

Visionの八嶋です。スペイサイドのエルギン地区の南約5km、
ロングモーンと隣接している姉妹蒸留所があります。
創業は1898年、ロングモーンと同じジョン・ダフ氏。彼はもともとパブの主人でしたが、
グレンドロナック蒸留所でマネージャーを数年勤め、地元のマレイ州の税務担当官と
エルギンの不動産鑑定士の二人のパートナーを得て1876年にグレンロッシーを建設。
続いて1894年にロングモーンとこの蒸留所を立ち上げるも、時代は既にウィスキー業界の
衰退期に入っており、すべて大手の会社に買収されてしまいました
この蒸留所も創業の2年後に早くも操業停止し、その後半世紀以上蒸留されませんでした。

1965年にグレンリベットが新しい所有者となって蒸留所を再建し、1977年からは
シーグラム社の傘下となってシーバスリーガル等のブレンデッドウィスキーの
モルト原酒として使われていたため、シングルモルトが販売されたのは1994年からです。
しかし、販売量が少なく入手が困難と言われていましたが、バーンスチュワート社の
前オーナーであったビリーウォーカー氏が中心となり、シーグラム社から蒸留所を買い取り
数多くの蒸留所元詰めボトルが販売されるようになりました。銘酒ロングモーンの
姉妹蒸留所にしては日陰の存在だったこの蒸留所。その名はベンリアックです。
ゲール語で”灰色がかった山”という意味ですが、同名の山は実在していません。
Malt Advocate Magazineで2007年のディスティラリーオブザイヤーに輝きました。
評価、注目度ともにうなぎのぼりなんです、そんなベンリアックがこちら・・・

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ベンリアック 12年 HEREDOTUS FUMOSUS PEATED MALT
ヘレドトス フモサスとはラテン語でスモーキーシェリーの訳。
スペイサイドの蒸溜所としては異例の約55ppmのヘビーピート麦芽を使用した原酒を
バーボンバレルで熟成した後にペドロヒメネス樽でフィニッシュをかけた2段熟成。
スペイサイドの特徴である華やかさとフルーティさに強烈なピートフレーバーが
見事に融合した上品なアイラモルトのような味わいです。
初めはフルーティな甘さを感じますが、フィニッシュすることで得たボディ、
深み、長い余韻をしっかりと感じることができる逸品です。

ベンリアック 15年 ペドロヒメネスフィニッシュ
ヘレドトス フモサスよりも前にリリースされた15年もののベンリアック。
こちらは、ノンピートの原酒をバーボンバレルで熟成した後の2段熟成です。
甘口のペドロヒメネスシェリーのソフトな口当たりと、重た目のフルーツ、
チョコレートの香りがプラスされています。

ベンリアック 15年 ダークラム フィニッシュ
バーボンバレルで熟成した後にジャマイカ産ダークラムのバレルで10ヶ月間
フィニッシュさせた2段熟成もの。
焦がした蜂蜜のような香りに芳醇な長熟ラムと干しぶどうの味わいです。

バーンスチュアート社でマスターブレンダーとして名を馳せたウォーカー氏の経験と、
化学者としての知識が融合した一段階上のモルトたちです。
まさに「ハート・オブ・スペイサイド」の名に恥じない素晴らしい完成度ですよ。
今夜もvisionにて、お待ちしております。

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