そのころ私はAさんのおかげで、遅くまで残業することはなくなっていた。

Aさんが残業するときは、手伝って遅くなったりもしたが、そんなときは必ず家まで送ってくれた。

Aさんの家は会社に近くて車で10分程だったが、私の家は遠くて1時間程かかる場所にあった。

それでも文句一つ言わず、長い道のりを送ってくれた。

その時は仕事が忙しくて、何日かそれが続いた日があった。



A「仕事も片付いたし、そろそろ帰ろうか?」

あい「はい。」

A「今日はいつもより遅くなったな。」

あい「最近忙しいですからね。」

A「俺の仕事なのに、手伝わせちゃってゴメン。」

あい「いつもお世話になってますからいいですよ。(笑)」



A「よかったら俺の部屋で飲まない?」

あい「…変なこと考えてるんじゃないですか?(;¬_¬)アヤシイ」

A「いや、いや。(笑)真面目に。」

あい「仕方ないなぁ。付き合ってやるか┐(  ̄ー ̄)┌ 」

A「嫌ならいいけど( ̄∇ ̄)」

あい「Σ( ̄◇ ̄*)エェッ 行きますよぉ。どんなとこに住んでるのか見てみたいし。」

Aさんの家に行くことにした。
いつも優しい『お兄ちゃん』だったから、なんの警戒もなかった。








Aさんの家は立派なマンションで、部屋もすごくオシャレだった。

さすがに子供の頃から家事してきただけあって、男の一人暮らしとは思えないほどキレイに片付いていた。


あい「やっぱり課長さんなんだね。(笑) いいなぁ。こんなとこに住んでみたいなぁ…。」

A「一応、あいよりは稼いでるからね。」

あい「最近手伝ってるんだから、私のおかげじゃない?」

A「よくいうなぁ。ちょっと前まで仕事なんてほとんどしなかったくせに。」

あい「愛に生きてましたから。(笑)」

A「俺は仕事に生きてきたんだなぁ…。」

あい「また、そうやって暗くなる( ̄▽ ̄;) まあ、飲んで忘れちゃいましょ。」

A「そうだな。」

まだAさんは元カノのことが忘れられないようだった。

A「やっぱり俺が変わらなきゃダメだよな。」

あい「またそんなこと言う。自分のこと責めても解決しませんよ!無理に変わろうとする必要ないです。AさんはAさんなんだから。 私は仕事してるAさんかっこよくて好きですよ。」

A「オマエに好かれても嬉しくない(-_-)」

あい「せっかく励ましてんのに…( p_q)」

A「ゴメンって。……オマエいいやつだな。ありがとう。」

あい「じゃあ、付き合ってくださいよ。(笑)」

A「やだ。(笑)」

あい「Aさんには、私みたいなのが合ってますって。」

A「そうなのかもな。」

あい「えっ?」


いつも冗談だと分かって受け流してくれるが、その時は違った。

真剣だった。



A「俺たち付き合おっか?」

あい「Σ( ̄◇ ̄*)エェッ」

A「嫌か?」

あい「嫌じゃないけど…。( ̄▽ ̄;)」

A「こんなに気が合うやついないと思うんだ。なんでも分かり合える気がする。」

あい「だっていままで『オマエとは絶対付き合いたくない』って言ってたじゃん。」

A「あれは冗談。俺は前からオマエのこと気になってたし。気付いてないのかよ。」

あい「気付いてないっていうか…妹みたいに可愛がられてるだけなのかと。(>_<)」

A「鈍感。(*≧m≦*)ププッ 毎回送ってやってんだから、気付くだろフツー。」

あい「そんな下心があったなんて…。だからあんなに優しかったんだ!?」

A「下心って。( ̄▽ ̄;)人聞きが悪い。」

あい「本当のことじゃん。(笑) あわよくば…って考えてたんでしょ?(;¬_¬)」

A「まぁ、そんなこともあったりなかったり…(笑)」

あい「本当に付き合う気あるの?」

A「あるよ。あいはどうなの?」

あい「…どうって言われても…。」

A「俺は真剣だから。」

あい「……考えさせて。」

A「分かった……。」

あい「なんかゴメンね。」

A「いいよ。 ていうか、今日はもう遅いし、泊まっていけば? 俺も飲んじゃってるし、タクシーだと金かかるだろ。」

あい「でも……。」

A「大丈夫だって。襲わないから。(笑)」

あい「いいよ。襲っても。(笑)」

A「いいの!?」

あい「冗談だって( ̄▽ ̄;)」

A「分かってるよ。(笑) シャワー浴びておいで。ベットも使っていいから。俺はソファーで寝るから。」

あい「いいの?わたしがソファーで寝るよ。」

A「いいから。素直に従いなさい。」

あい「はぁーい。ありがとうございます。」



本当に何もなかった。
やっぱりAさんはいい人だった。

付き合ってみよっかなぁ…と思い始めていた。