ど~も、いつも思考停止のA.Taruです。
最近、水道水に含まれるフッ素化合物(PFAS)について、「思考力低下」や
「免疫力低下」を招くという懸念が一部で広まっています。とくにバッテン(X)では。
しかし、これらの説は現時点において科学的根拠に乏しく、誤解を招く恐れがあります。
PFASと水道水、そして「思考低下・免疫力低下説」の真実について、簡単にお話します。
1. 水道水とフッ素化合物
水道水に含まれるフッ素化合物は、主にフッ化物(フッ素イオン)と
PFAS(有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物および
ポリフルオロアルキル化合物の総称)の2種類に分類されます。
フッ化物は、虫歯予防効果が古くから認められており、多くの国々で水道水に
添加されています。
世界保健機関(WHO)も、フッ化物の虫歯予防効果を推奨しています。
一方、PFASは、近年問題視されている人工化学物質です。テフロンや防水透湿素材などに使用されており、近年では水道水汚染の原因としても懸念されています。
2. 思考低下・免疫力低下説の科学的根拠
水道水PFASと「思考力低下・免疫力低下」の関連性を示唆する研究報告は
いくつか存在します。
しかし、これらの研究には多くの限界があり、確実な因果関係を導き出すことはできません。
よく言われるのは可能性があるということで、不安を与えていることです。
- 観察研究のみ: 多くの研究が、PFAS曝露と健康被害との関連性を示唆する観察研究のみです。しかし、観察研究では、PFAS以外の要因が健康被害に影響を与えている可能性を排除できないため、因果関係を確定することはできません。
- 研究結果の矛盾: 思考力や免疫力への影響について、研究結果には矛盾が見られます。ある研究では影響が見られた一方、別の研究では影響が見られなかったという報告もあります。
- 曝露量や期間の不明確さ: 多くの研究において、PFASの曝露量や期間が明確に示されていません。そのため、PFASが実際に健康被害を引き起こすレベルの曝露であったかどうかを判断することが困難です。
- 大切なのは摂取期間と期間中に受けた量なのです。
3. 結論:現時点では断定できない
現時点において、水道水PFASと「思考力低下・免疫力低下」の間に確実な因果関係を
導き出す科学的根拠は十分ではありません。
水道水PFASについては、長期的な健康への影響を調査する更なる研究が必要です。
ちなみに各国の水道水中の有機フッ素化合物の基準値は?
となっています。
日本の水道水は世界でもトップレベルの安全性を誇り、PFASは水道水質基準に
目標値が設定され、目標値を遵守した水質管理・浄水処理が実施されています。
具体的には、PFOSとPFOAの合算で50ナノグラム/リットル以下という暫定値が
設定されています。
この基準は、体重50kgの人が毎日2Lの水を摂取したとしても健康に害がないとされています。
現在のところ、PFOSやPFOAの摂取による直接的な健康への影響は確認されていません。
一方、フッ化物については、虫歯予防効果が確立されており、安全性も十分に
確認されています。
過度な不安に駆られることなく、信頼できる情報源に基づいて判断することが重要です。
それでも、心配ですよね。だからこそ、報道されている値と基準値を目安に判断が
必要かと思います。
SNSで危険だけをアピールする人がいますが注意してください。
水道における有機フッ素化合物について 厚労科研等による検討状況
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001234729.pdf