家族でお祭りに行きました…。
露天屋さんで久々に
りんご飴を口にした…。
初めて食べたのは七歳の時…。
あの頃はまだまだ大きなりんご飴は
食べられ無くて
六歳のあの頃は
みかん飴を食べました…。
みかんは少し酸っぱくて飴は甘くて
交互に口の中に広がって
私を慌てさせる…。
その一年後に初めて
りんご飴を食べたんだ…。
母ちゃんと一緒に…。
丁度、乳歯が生え替わる時期で
前歯が飴にくっついちゃった…。
母ちゃんが笑った…。
あんまり笑うので
私は不機嫌になって
「私、もう赤ちゃんじゃないよ!」
って怒ったんだ…。
そんな私を母ちゃんは
思い切り抱きしめてくれました…。
私の怒りを母ちゃんの両腕が
しっかりと受け止めてくれました…。
上の歯が抜けたので
家に帰って地面に向けて
抜けた前歯を投げました…。
母ちゃんは投げた方向に
手を合わせてた…。
「母ちゃん、何を祈ったの?」
そう尋ねると
「せつこに綺麗な歯が生えますように…。」
そう言って笑ったんだ…。
私ね容姿はよく言われなかったけど
よく歯並びが良いねって!
言われて来たんだよ…。
きっとあの時に
母ちゃんが祈ってくれたからだよね…。
娘がみかん飴を食べています…。
するとね、下の前歯が取れちゃった…。
娘は前歯が抜けた事も忘れ
みかん飴をまだかじってる…。
「家に帰ったら、この歯を一緒に投げようね…。」
キョトンとする娘…。
家に戻ると娘と一緒に
マンションから上に向かって
投げました…。
思わず手を合わせて祈る…。
目を閉じると
あの時の母ちゃんの
姿が思い出されてきます…。
母ちゃん
ずっと手を合わせていたよね…。
まるで神さまに手を合わせて
居るようだった…。
もしかしてあの時から
母ちゃんは自分の命が
もう長くない事がうっすらと
わかって居たのかも知れません…。
「どうか、せつこが幸せになりますように…。」
ふとそんな声が聞こえて来ました…。
目を閉じながら涙が溢れる…。
すると隣りに居た娘が
小さな掌で私の涙を拭いてくれるんだ…。
母ちゃんにはあんまり
甘えることが出来ませんでした…。
でも、数少ない大切な思い出を集めると
その一つ一つがとても幸せに感じる…。
私を精一杯、愛してくれました…。
隣りの娘を抱き寄せて
そっと伝える…。
「バアバがね、新しい歯をプレゼントしてくれるって…。」
娘は会ったこともないバアバに
私の横で娘がそっと手を合わせる…。
娘の中にも母ちゃんが生きてる…。
遺伝子は受け継がれます…。
母ちゃんの優しい気持ちは
娘の中で生きています…。
もう30年以上も昔の事なのに
まだ私の記憶にちゃんと
刻まれて居るんだよ…。
もう、いつも娘は眠っている時間なのに
とっても眠たい時間なのに
娘は私を見つめてる…。
ふと娘を良く見たら
目を開けて眠っていました…。
娘を抱きかかえると
とっても重たかった…。
「こんなにも重くなってくれたんだね…。」
思い切り抱きしめた…。
精一杯、抱きしめた…。
私の娘に生まれてくれて
ありがとうね…。
本当にありがとうね…。
私がこの世に生まれた意味が
娘を産むことだけだったとしても
私はとっても幸せ…。
この娘の体重の重さと
愛しい想いは
もう誰にも譲れないよ…。
