世の中は連休中

 

 気持ちの良い 陽気に心もほぐれる

 

 さあ 真っ先に片付けなくては!

 

 手を綺麗に洗い清め 和室へ向かう

 

 長押に掛かったままの 着物や帯たち

 

 楽しかった時間とともに

 

 綺麗に畳んで仕舞わなくてはね。

 

 

 

 卯月になったばかりのこと

 

 ひさしぶりに'お座敷'へのお声がかかり

 

 それならば、と ちょっとした余興気分で和装を選択してみた

 

 つくづく 着物ってすてきだなって思うのは

 

 着物や帯だけでなく、さまざまな小物の組み合わせ次第で 

 

 シチュエーション、季節などを踏まえたオリジナルの装いが可能なこと

 

   ただ、 三寒四温の時期でもあり 私の選択も二転三転

 

 当初は遅い北国の春を待ちかねて、というイメージだったのに

 

 一気にお花見の膳と相成ってしまった。

 

 でも そういうハプニングにも慌てず

 

 寧ろ楽しく感じているのは

 

 私自身が人生経験を積んだ証拠かもしれない。

 

 さんざん悩んだ末に決めた

 

 花の季節の次に来たる、新緑色の帯締をキリリと締め いざお座敷へ

 

 結果的には きまぐれ姫の'七変化'に 旦那衆方は大喜び。

 
 こういうときに 男女の思考の差を感じてしまうのは
 
 旦那衆のこの一言。
 
 「 ねえ、家帰ってから脱ぐの大変じゃないの? 」
 
 
 
 ほー、そうくるかーーー(笑)
 
 キホン 女っていうイキモノは、装ってナンボ! なんですヨ。
 
 自分を綺麗に見せるために あれやこれや選んで悩む瞬間が一番気分上がってるわけです。
 
 よし、できたーー完璧!! って。そこで第一幕終了。
 
 お片付けはそのオマケ、というか反省会みたいなものと思っていたんです。
 
 つまりその「時間」も含めての装いなんですよね。 
 
 むしろ歳を重ねた今は
 
 その余韻すらも愛おしく感じる楽しいひとり時間なのではないかな、と。 
 
 
 
 丁寧に畳み終えた着物を鬱金色の布に包みながら 
 
 ふと 思い出したのが 杉田久女のこの一句。
 
 
  花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ
 
 
 現代訳:「花見から帰ってきた女性が着物を脱ぐために一本一本紐をほどき捨てていきます。
     こうあらためて見てみると、なんと紐の多いことか」
 
 
  さまざまな解釈があると思いますが
 
  令和の世を生き抜いている、この私の見解といたしましては
  
  この「紐」の存在こそ 私と世の中をつなぐ大事な存在なわけですよね。
 
  でもね
 
  決して「枷」とは感じてないわけです。
 
  着物を美しく装うためであったり、
 
  スグ、調子に乗りがちな私を
 
  破天荒にならないよう、自らを律するためであったり、
 
  ひょっとすると 命綱になってるかも!?
 
  用途はさまざま。(笑)
 
  ま、そういうわけです。(わかるかなあ??)
 
 
 
  畳の上に 綺麗に並べた、紐たちを眺めながら
 
  「 ほんま、おおきに おつかれさまでした 」
 
  そう、私はつぶやいたのでした。