(2)
「え…
し、死ぬって…」
「何を信じていいか分からない?
なぜ分からないのさ」
突き刺すようなオーラが彼女から飛んで来て、僕を貫いた。
「え…えと…。
急に周りでいろんなことが起こって…
突然いろんなことを言われて…
何が何だか、分からないんです」
僕は正直に言った。
「天野っちさあ~」
ひかるが僕の顔を覗き込んだ。
「誰がどうしたこうしたって、
アンタ自身はなんなのさ。
誰かに何か言われた。
それを信じるか信じないか?
そんなことをずっと言いながら生きてくつもり?
分からなかったら、自分で確かめなさい。
自分で真実をつかみなさい。
それ以外に、アンタが生きてく道は決まらない。
誰かに何か言われたから信じるのか?違うでしょ。
自分で探し、自分でつかめ。
そうやって自分で確かめていくしかないんだ、
アンタ自身の道なんだからね」
いっぺんにまくし立てられて、
僕は泣きそうになった。
確かに正論かもしれないけど…。
「大丈夫よ、ハルキくん」
みずきが、僕の肩に手をかけた。
「ひかるチャンは…
あの地下室で私たちを助けてくれた。
私たちを守ってくれた。
ひかるチャンのことは、信じていい。
私はそう思う」
「私もそう思う。にひひ」
はなみが笑った。
「ふん、好きにしな」
ひかるはちょっと照れくさそうにした。
「うがああああ!」
突如、叫び声がした。
目をやると、そこには…
田中院長が立っていた。
頭に、電気スタンドが光っている。
「がははは…よくもやってくれたな。
しかし、まだこの計画は終わっちゃいない。
はなみを寄こせ。
その女を…俺は何としても組合に連れて帰るのだ!!」
院長… 地下室にいたはずではないのか。
いつの間にこのフロアに上がってきたのか。
院長が、相手の正体? まさか。
僕は昼間から院長に会っている。
あの時、院長の頭には電気スタンドはなかった。
院長が敵のはずがない。
「がはははあは!
俺は負けん!」
院長はそう言うと、倒れている人の中から一人を掴み上げた。
「娘を渡せ。
さもなければ…こいつの命はないぞ」
そう言うと、つかんだ男の頭の電気スタンドをつけた。
その明かりが照らした場所。
彼の喉もと。
院長の右手には…メスが握られていた。