(7)
「寿司屋はもう片付いた。
全員正気に戻った。
あとは地上に残された人たちだな」
「な…何言ってるんだ。
電源を落とされちゃったんだ。
どういうことか、分かってるのか?
お前が、敵本体だったんじゃないのか!」
僕は女にかみついた。
しかし彼女はうっとうしそうな顔をして、
「は?
分かってないのはあんたの方だよ。
いいからどいてな」
と言っただけだった。
「な…」
3人がエレベーターの室内に乗り込んできた。
僕は端に追いやられた。
女は自分の頭の光を頼りに、
暗い部屋の中で壁面をなにか調べていた。
「あった」
そう言うと、壁の一部がパカッと開き、
何かボタンの類が姿を現した。
なんの躊躇もなくそのボタンを操作していく。
すると、エレベーターの室内の電灯が戻った。
次に、エレベーター自体が動作を始める。
ほとんど音を立てないまま、
この重たい箱が地上へ向かって動いているのが分かった。
何をどうやったのか、エレベーターは機能を回復させた。
来たときと同じで、どれくらいの時間その中にいるのか感覚がなくなった頃
エレベーターは動きを止め、扉が開いた。
エントランスホール。
そこで僕が目にした景色は…
暗闇に包まれた空間に、何百人もの人が
頭に電気スタンドを乗せて立ち尽くしていた。
全ての電気スタンドが、光輝いている。
「電池式か」
女が呟いた。
たしかに電池式の電気スタンドなら、
コードなしで電源を確保できる。
光る、光らないで本物と偽物を区別することはできない。
なんだか今までの作戦に輪をかけてアホくさいけれど、
戦術としては一段階上なような気もしないこともない。
「残念だよ。無駄に人の命を奪いたくはなかった」
一人が一歩前に歩み出て、口を開いた。
「俺は…組織は…
はなみ一人さえ、手に入ればそれで良かった。
誰の命も…奪いたくはなかった。
殺したのは、君たちだ。
君たちの決断が、多くの患者の命を奪ったんだよ」
その声に、女が答えた。
「いいや、違うね。
誰一人、死んでなんかいない。
あんたの負けだ」