母の具合が明らかに悪くなっていく

 

わたしと姉は夜まで病室に居ました。

そこへ・・・

いったん帰宅していた兄と兄嫁とその息子が慌てて病室に入ってきました。

 

 

わたしと姉は顔を合わせたくなかったのでその場から消えました。

近くでコーヒーを飲みながら奴らが帰るのを待っていました。

案の定、奴らはすぐに帰ったので、また私たちは病室へ行きました。

あとから考えてみればその時看護師は兄の所へ電話をし

『お母さんが危篤です。今夜が峠でしょう』みたいなことを言ったのだと・・・

なので、兄と兄嫁そして息子(母にとっては孫です)が顔を見に来たのでしょう。

 

 

看護師が『お母さんが危篤です。今夜が峠でしょう』と言った割には

兄と兄嫁はさっさと帰ってしまって白状そのものです。

わたしと姉は、まいどのこと、兄や兄嫁からは一切何も聞かされず

看護師からも何も聞かされずただただ想像するしかなかったのです。

もしかしたら?今夜が峠なのかな?危ない?そんな想像をしながら

病院の面会時間までいましたが強制帰宅することに・・・

『お母さん、また明日くるね。頑張ってね』母の手を握ってさよならしました。

帰り路やけに渋滞していて『帰らないで、戻って来て』

母はそう言っていたのかもしれないな。

そのときは・・・

危険な状態だと思ってはいても・・・

まさか・・・

母が亡くなるなんて・・・

そんな思いがありました。

いつまでも生きているって勝手に思っていたり

 

翌朝早くに病院へ行きました。

母の病室が真っ暗で扉が閉まっていました。

あれ?

まさか?

看護師さんに声をかけ

『朝早くからすみません。母の顔だけ見たいのですが・・・』

そう言うと奥から看護婦長がでてきて言いました。

 

 

『お母さん、昨日亡くなられました』

『お兄さんからは聞いていませんか?』

『妹さんたちには連絡してあげてくださいと言ったのですが』

 

 

言葉が出てきません

 

 

『お姉ちゃん、お母さん死んじゃった』

そう姉に連絡し涙がポロポロでてきた。

真っ暗な病室。確認しようかどうしようか。

いったいいつ亡くなったのか?

そうだいったいいつ亡くなったのか?

看護師さんに聞いた。

『母が亡くなった時間は?』

 

 

『21:21分です』

 

 

やっぱり。

私たちが帰った後間もなくでした。

お母さん頑張ってくれてた。

私たちがいる時間まで頑張ってくれたんだ。

そう思うと嬉しかった。

 

 

色々聞きたかった。

母の最期どんなだったか?

眠るように?

苦しんだ?

何か言ってた?

亡くなったのは何が原因だった?

奴らは兄と兄嫁は最後に死に目に逢えたのか?

 

 

そして亡くなったその夜・・・

兄と兄嫁は・・・

きっと一滴も涙を流すことなく母の遺体を引き取り

葬儀場へ運んだ。

 

 

 

忘れられない1日

恨んでも恨み切れない1日

憎くて憎くて殺したいくらい憎い

親の死に目に逢わせてやるものか・・・

そう言った兄・・・

そのようにさせられた私たち姉妹

 

 

こんなことがこの世の中に幾つ存在するんだろう

 

 

おまえたち・・・

碌な死に方しないよ

憎み殺してやりたいよ。

 

 

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