このコンサート、どうしようかなぁと思いつつ、いずみホールでのリハーサルの様子をTwitter見てて、これは行きたい…フレンチのアンサンブル(ミュズィク・ドゥス)をやっている人間としては、行かなければならない…と前日に思って、家のこともうまく行けるようなタイミングになったので、急遽行くことに。

当日朝のいずみホールのツイートでは当日券も若干出るということで、期待して行く。

 

いずみホールはかなり久しぶりなので、京橋駅からの行き方を少し忘れていた。

(帰り道はもっと忘れていてぐるぐる…)

 

着いてみると、当日券を求める人がちょくちょくおられる。

窓口で座席表を見せて頂くと、大好きなバルコニーの割と良い席が空いているのでそこへ。

果たしてテオルボやフルートの正面。

オケ全体も見えるし、オケの前に設置されたダンスフロアでのダンスの動きとかもよく見える。

(写真取り損ねたの終演後1F後ろから)

終わってみるとともかく愉しかった!の一言なので、詳しく書くと言葉が陳腐な気もするけど、記録として。

 

始まってみるとピッチは392Hzのいわゆる「ヴェルサイユ・ピッチ」のたおやかな響き。

 

リュリの《アティス》から序曲、〈花の女神のニンフたちのエール〉という名のサラバンド、メヌエット、ガヴォットでステキなダンス付き。

ダンスのステップも手の動きも大注目、しなやかで滑らかで美しかった。

ある方曰く

「文献を再現したカクカクっとしたのではなくて、フランスの上に上がるダンス」

とのことで、全くその通りだと思った。

 

MCは、演出の岩田さん、ヴァイオリンの寺神戸さん、そしてダンスの更紗さんで、盛りだくさん。

ダンスは手の動きが重要で、ナイフとフォークを持つ時などの日常の動きを身に付ける動きだということ、

舞踏譜に書かれている装飾は音とリンクしていること、などなど、バロック・ダンスはメヌエットだけ覚えて発表会に出ただけだけど、伴奏もすることもあるので、やはり舞踏譜はちゃんと読まなくては(汗)と思った。

 

ラ・フォリアはフレンチの何かと思い込んでいたので、コレッリだったか、とちょっと意表を突かれる。

笠原さんはテオルボをバロック・ギター、時にカスタネットに持ち替えての通奏低音隊。

寺神戸さんは暗譜でダンスフロアに、時に更紗さんのダンスと絡んでのフォリア。

ヴァイオリンと通奏低音がちょっと遠かったこともあるのか、自分の座席の位置もあるのか、たまにヴァイオリンがズレて聞こえてしまったのが少し残念。

 

コレッリのは全部ではなくて抜粋だったけど、以前樹里さんのフォリアの伴奏をバロック・ギターで弾いた時に、ル・コックの20いくつある変奏から舞踏譜での変奏の数に合わせて8つくらいを抜粋してだったので、終演後寺神戸さんにお尋ねしたら

「長いとダンサーが疲れてしまうから」

というちょっと意外なお答え。

 

次のMCは、歌の波多野さんを交えて。

波多野さん曰く

「歌いにくい面白さ」

「フランスものは喉の中にちょうちょうがいないと」

「日本の軽やかなこぶしのよう」

とのこと。

コメディ・バレのリュリの《町人貴族》はディヴェルティスマンでありセミオペラとのこと。

より、追加の〈トルコ人の儀式の音楽〉では笠原さんはテオルボをずらしながらの太鼓ののち、波多野さんのイタリア語の歌に、コンテンポラリ・ダンスは仮面で時に波多野さんに、時にオケに絡みながらのイタリア人のエール。

これは本当に愉しかった。

 

前半最後は、リュリの《アルミード》から有名ともいえるパサカーユでダンス付き、その前に追加の第2幕第2場のプレリュード。

これはEMCの全体合奏でも演奏した合唱を加えた長いのもあるけど、一般的と言える合唱がない短めのヴァージョン。

音楽もダンスも見惚れて聞き惚れた。

 

バロック・ダンスは基本的に男女ペアのダンスがほとんどで、ソロ・ダンスは少い分とても技巧的に書かれていると聞いた(見た)ことがあるけど、そういう意味でも堪能した。

 

休憩でホワイエに行くと知り合いに会うこと会うこと。

それでもSNSを見ていて、会えてない人が結構おられた。

 

後半は、チラシのタイトルでもあるラモーの《ピグマリオン》。

ラモーは、17世紀(以前)ばかり演奏している自分には新し過ぎてあまり聞いていなかったけど、MCでもあったこの

「半分踊り、半分オペラ」

のアクト・ド・バレは本当に愉しかった!

オケも歌もダンスも合唱も振り付けも演出も、2Fから見ていたので動きなどもよくわかってどれも良かったし、あっという間の1時間だった。

 

そして、何よりも今フランスもののプロジェクトをしているので(フランス語ではなくてフランス風ラテン語宗教曲他で、今週末12/21@和泉市久保惣記念美術館本番のミュズィク・ドゥス)フランス語の発音をじーっと聴いていた。

ラテン語であってもフランス風がどういう感じかという雰囲気を、音楽とともに感じることができたのは、大きな収穫だった。

ほとんど突然思い立っての《ピグマリオン》観賞だったけど、行って良かったし愉しかったと言える、久しぶりのいずみホールだった。

 

終演後は久しぶりにお会いする色んな方々にご挨拶できて良かった。