そのドイツワインは美しい液面の色をしていてまるで透明感のあるルビーのようだった。
澄んだ輝きのあるルビーとは本当にこのことを言うんだなと思った。とにかく外観が美しい。ゆっくりと少しづつ香りを楽しみながら口に運ぶ。アタックはわりと強め。味わいは深く沈んだところから始まる…挫折感や喪失感、その先にある希望や可能性は霞んでいく。そんな出口の見えない深い霧の中にそっと手を差し伸べ光のもとへ導いていく。強く、やさしく、ドイツワインはいつも飲む人に寄り添っている。