数日前まで私の家に孫が二人泊りに来ていた。子供の相手はヘトヘトに疲れる。しかし、帰ってしまうとなんだか淋しい。上は4歳8ヶ月、下は3歳1か月、元気いっぱいの姉妹だが、性格が全く違う。性格の違いは自己主張の仕方でよく分かる。

 上の子が1歳頃、児童館のクリスマス会に初めて参加した。ママがその様子を動画に撮って送ってくれた。楽しそうなクリスマスの曲が流れる中で、みんなが楽しそうに輪になって歌っている。上の子はと見ると一人抜けだし部屋の隅っこでポツンと座っていた。みんなと仲良く出来ないのかと心配になった。よく見ると小さく体を震わせてリズムを取っている。なんだか淋しそうだが、孫の様子が一層愛おしく思えた。この子の性格の中にきっと他の子と混じり会うのが苦手な部分がある。大きくなってもそういうシャイな性格は変わらないだろうなと思う。しかしこの子は女の子らしい繊細で優しい心の持ち主だ。

 下の子の性格は、今回よく分かった。姉に力ずくで物を取られたりすると大きな声で泣き叫ぶことが多いが、時には姉からおもちゃを奪い取り逃げ回り、姉を泣かすこともある。負けん気の強い子だ。二番目のためか、いろんな場面で、私はここにいるよと強く自己主張している。

 

 また子供たちは自己主張するだけでなく、その旺盛な好奇心にも驚かされた。上の子は2歳の頃、私の部屋に入って来て机の引き出しを開け中にある様々なボールペンやホッチキス、カッターナイフ、セロハンテープなどを取り出して、これは何?これは何?と聞いてきた。一つ一つ説明するといちいち自分で納得するまで試して確認した。放送作家50年の私の部屋は、机の引き出しだけでなく、あちこち本や資料のCD、DVDなど山のように積まれている。彼女には見慣れないものがあふれる宝の山に見えたことだろう。

 ところが、下の子は1歳の頃は私の部屋に入るのを嫌がっていた。姉が無理やり入れようとすると逃げた。慎重なところのある子だった。私の部屋には見慣れない物がいっぱいあり恐怖を感じたのかも知れない。ところが今回、姉に影響されたのか、何のためらいもなく入って来た。好奇心が勝ったのだろう。部屋の隅にある年代物のラジカセを見つけ、ダイヤルやボタンなどあちこち触り始めた。そして音量ダイヤルをグルグル回して最大音量にした状態でスイッチをスライドさせONした。突然部屋を震わすような大音量が鳴り響いた。私は「爆発だ!」と叫んで慌ててスイッチを切った。孫はキャッキャッキャッと大喜びした。いたずらな目を私に向けながら再びイッチをスライドしてONにした。再び大音響が鳴り響いた。孫は一層キャッキャッキャッと更に大喜びした。また、私が「爆発だ!」といって慌ててスイッチを切ると、すぐに手を伸ばしスイッチをONにし再び大音響!キャッキャッキャッとまた大喜び。それを何度も繰り返した。3歳の孫はラジカセ大音響遊びの大発見をしたのだ。得意満面であった。この喜びはしばらく忘れられないだろう。孫にとっては私の部屋は好奇心を満足させてくれる宝島のような存在だ。彼女は気に入ったことを見つけると集中力を発揮して夢中になる。この集中力は頼もしく感じる。三つ子の魂百までというが、この性格は大きくなっても変わらないと思う。

 孫の二人の性格は違うが、ジイジイとしては二人の性格の違いを発見したことは二人の存在に近づいたようで嬉しい限りだ。