『探偵!ナイトスクープ』の最高顧問キダ・タローさんの追悼番組が放送されることになった。視聴者からもキダさんの追悼番組を放送してほしいという依頼がたくさん来ている。その一人藤原篤史さんは30年間以上にわたり番組をデーターベース化してネットで発信し続けてくれる番組愛に満ちた人だ。彼からも是非追悼番組を放送してほしいと、代表作をいくつかあげたタイムリーな依頼が届いた。

 キダ・タローさんが番組に最初に登場したのは1990年2月17日放送の「浪速のモーツアルト」だ。当時59歳の溌溂としたナニワのミュージシャンが映っている。その頃はやたらとオーバーアクションする変なおっさんと思っていたが、時が進み番組に来るたびに気の利いた言葉を発する人だと分かってきた。単なる目立ちたがり屋でなく場を考えて最適な行動をとる賢い人物だった。それゆえ最高顧問と呼ばれるようになった。

 キダさんは80歳過ぎても90歳過ぎてもお元気だった。探偵によく「そのお歳で、毎日肉を食って酒を飲んでいるらしいですね」と聞かれると「毎晩そうしています」と平然と答えていた。キダさんの健康の秘訣は肉と酒だと分かり驚いた。確かにそういう場面を目撃したことがある。10年ほど前の忘年会でたまたまキダさんの横の席に座ったことがあった。すき焼き鍋の肉を美味しそうに次々と口に運び、お酒もよく飲んでいた。キダさんはは基本的には他人の箸をつけた鍋は嫌がって食べないと聞ていたが、この時はキダさん専用の鍋が用意されていたのだろう? しかし、向かいに座る若くて美しい3代目秘書の松尾依里佳さんとは冗談を交えながら軽快なおしゃべりを楽しんでいた。いつもスタジオで見るキダさんとは違う顔が見られた。

 考えてみるとキダさんとは長いかかわりがあります。私が担当した番組『プロポーズ大作戦』『ラブアタック』『三枝の国盗りゲーム』「合コン!合宿!解放区!」などの音楽を担当してくれていただけでなく、私自身はラジオのABCヤングリクエスト ミキサー完備!スタジオ化しますにもちょこっと出演しました。あまりの音痴に私のマイクが切られた苦い思い出もあります。

 キダさんのご冥福を祈ります。