『プロポーズ大作戦』と一味違う恋愛バラエティ番組『ラブアタック』が1975年11月2日に関西ローカルで放送を開始した。『プロポーズ大作戦』の全国ネットより1か月早い。始まった当初の番組名は『ラブアタック!7人のサムライ』で、司会は横山ノックとエバだった。構成者は『新婚さんいらっしゃい』のベテラン作家・尾上たかし、女性作家・角田直美、若手の疋田哲夫らが名を連ねていたがしばらくして彼らの名が消えた。残ったのは私と同様の若い新人作家ばかりだった。番組を企画した松本修ディレクタも入社3年余りと若く、若い感性が生み出す斬新なイディアがズバズバ通る楽しい番組になった。

 『ラブアタック!7人のサムライ』は、『竹取物語』のかぐや姫の如く美しい女性に7人の若者が競い、最後に残った勇者1人がかぐや姫に恋のアタックをする。OKなら祝福のくす玉が割れカップル成立となるが、大抵断られ奈落の底に落ちる。この美女のかぐや姫に振られるところが悲哀が漂い同情を誘い興味深い。全国ネットになった頃にはアタッカーの数が7人から5人に減り、5人がゲームの1部に、4人のアタッカーが歌で競い合い選ばれた1名がかぐや姫がいる壇上に登り愛の告白をするという2部が加わり1時間番組となった。

 2部はアタッカーのキャラに頼ることが多かったが、しかし1部はアタッカーの全身の力を漲らせ頑張る姿が清々しく頼もしかった。そんな若いアタッカーに全力が出せる新しいゲームを考えるのが好きだった。決まった定番のゲームには、丸太切りや、障害物競走、囲碁名人戦、うなぎ掴み、そしてラストのフランス料理フルコースの早食い競争があったが、常に新しく刺激的で面白いゲームを提供しようと考えていた。アタッカー全力を出させ、尚且つ彼らの納得のいくゲームならは、番組に活力と新鮮な驚きを与えてくれる。私の考えたゲームをあげる。アタッカーが大きな麻のずた袋に入り頭上を閉じる、手に持ったはさみ一つで麻布を破り、そこから出て、最後ははしご潜りをする。もう一つ、アタッカーがキャスターに仰向けに寝た状態で、吹き矢で頭上に吊るされた水入り風船を割り、次々進むゲーム。このような新ゲームを考えるのは私の得意中の得意だった。よく東京から来ている他の番組の作家に、毎週東京の作家たちは大阪の番組を見て参考にさせてもらっている。時々私のアイディアも話題に出た。それを聞くたびに、これが東京の番組だったらもっと大掛かりなゲームができたのにと残念に思った。予算の少ない大阪のテレビ局の限界なのだ。

 放送作家生活50年を振り返ると、楽しいこともいっぱいあったが、残念に思うこともいろいろあった。今、それらのことを考えると、その当時に時間が戻ったようで大変懐かしい。