僕には、この世で敬称を必ずつけてお呼びしなくてはいけないと思っている方が、3人います。その内のお一人が、手塚治先生です。
手塚先生との出会いは、アニメの鉄腕アトム。漫画としては、冒険ルビだったと思います。6歳位の頃です。以後「鉄腕アトム」「地底王国の冒険」「ノーマン」「ブッラクジャック」「三つ目が通る」「火の鳥」「ジャングル大帝」「どろろ」「W3」「ドン・ドラキュラ」「アドルフに告ぐ」「ルーウィヒB]と読んで行く訳です。
先生の功績は、wikipediaでも読んで戴ければ良いと思います。僕が言いたいのは、先生は漫画の神様じゃないという事です。先生は、永遠の漫画小僧です。ともかく、自分が一番じゃないと気が済まない。
あのゲゲゲの女房の水木しげるに「絵が汚い」とか「あれ位、僕でも描ける。」とか散々難癖をつけたのは有名な話。実は、「ゲゲゲの鬼太郎」に驚愕し、「どろろ」「バンパイア」を執筆。子供は水木ファン(水木の長女は手塚ファン)と、実はかなり意識したそうです。
弟子格の石ノ森章太郎(仮面ライダーや戦隊シリーズの生みの親)や、藤子不二雄(ドラえもん・怪物くん・忍者ハットリ君の生みの親)にも異常な対抗意識を燃やして、新作を酷評したりした事も有ったそうです。
先生は、芸術家や大御所じゃなかった。生涯現役。自分より面白い漫画が出ると酷評しても、良い所はドンドン取り入れて行きます。相手が、ご自分のお子さんより、若い新人でも関係有りません。面白い漫画を描く人は、ライバルであり、学ぶべき教科書なんです。先生に取っては。
アニメーターが薄給で重労働なのは、先生の負の遺産と言われてます。安く短期間に制作する事で、テレビ放送市場を自分の作品で独占したかた為です。先生自身も無理が祟って、漫画作家としては低迷。経営していたアニメ・プロダクションは、倒産。苦渋の時代を迎えます。
漫画もやりたいアニメもやりたい、自分が一番じゃなければ絶対嫌だ。「一番じゃなければ、駄目ですか?二番じゃ駄目なんですか?」と言った議員さんがいましたが、先生だったら「一番以外に価値が有るのか?」と怒ったでしょう。
先生は、元々は裕福な家庭のお坊ちゃんなんです。それが、戦争で漫画も読めない描けない窮屈な少年時代を過ごし、長じて低迷と倒産で辛苦を味わいます。色々な人に裏切られて、馬鹿にされました。その後の「ブラック・ジャック」「三つ目が通る」や、一連の青年向け漫画にはその時の経験が、生かされていると言われています。先生は、神様じゃないです。漫画小僧です。評論家にもっともらしい事を言われたり、勲章貰うよりその辺の子供に「手塚、最高。面白い。」って言われる方が嬉しいんです。
多分、先生は今もあの世で漫画描いているのではないでしょうか?そして、「僕の方が、面白く描けるよ」と言ってます。



