遠くから、V6ツインターボの甲高い排気音が聞こえてきた。ぼんやりと、そちらの方を眺めると黒いGT-Rが、僕の方に走ってきた。
流れる様に僕の前を掠めると少し離れた所に、静かに停まった。ドラバーシート側のドアが、ゆっくり開いた。小柄な少女、いや若い女が降りてきた。彼女だ。
「待った?ちょっとね、仕事が押して先刻終わったばかりなの。」
「その車、買ったの?」
「ん。ちょっとレンタル。仕事でね。3日間。自由に使って、レポート書くのよ。良いでしょ。」
そう言うと彼女はGT-Rのキーを突き出した。
「運転して。ナビシートの乗り心地を確かめたいのよ。」
ぽかーんとしている僕を尻目に、彼女はさっさとナビシートに潜り込んだ。
「か弱い女子としては、ナビシートレポが必要なのよ。」
僕は、ドライバーシートに座るとエンジンを掛けた。思ったより、ずっと静かだ。GT-Rは、滑る様に走り出す。オーディオからは、彼女の歌声。
「良いでしょ。今度出すアルバムのデモよ。」
「いよいよだな。」
「そうよ、私は夢を掴むの・・・」
彼女は、堰を切った様に喋りだした。今のレコーディングの事。アルバムのプロモーションの事。そして、彼女の夢の事・・・。夢を掴みかけた彼女。嬉しい気持ちと、寂しい気持ちが交差した。
彼女の話し声は、突然途絶えた。話し声が、小さな寝息に変わった。GT-Rは、相変わらず滑るように静かに走り続ける。車内には、彼女の寝息と歌声。窓の外は、景色が物凄い勢いで後ろに流れて行く。
GT-Rは、長い直線路に入った。僕は小さく溜息をつくと、呟いた。
「終わりかな・・・。」
気がつくと、左腕を誰かが掴んでいる。彼女だ。
「ねぇ。貴方の仕事どうなの?」
僕は、答える代わりに笑顔を作った。
「この車、どんな人が買うと思う。貴方みたいな、車馬鹿なんだけど。」
「大層、羽振りが良い奴だろうね。」
「そうね。ちょっと位の稼ぎじゃ買えないものね。でも、そのお金。きっと、必死になって、稼いだんでしょうね。」
僕は、黙り込んだ。
「私ね、もう少しで夢が掴めるかもしれない。今まで、必死にやってきた。貴方にも言えない様な辛い事も、沢山有った。」
彼女の僕の腕を掴む力が、強くなった。
「でもね、それって私だけじゃないんだ。夢を掴もうと思ったら、誰だって辛い想いを沢山乗り越えなければ、掴めない。夢の尻尾さえ、見る事が出来ない。」
僕は、大きく息を吸い込んだ。
「この車、僕でも買える様になるかな?」
「さぁ。どうだか?貴方にそこまで、頑張れるかしら?」
彼女は、笑った。
「もし、僕がGT-Rを買ったらドライブ付き合ってくれる?」
彼女は、僕の方を見て、悪戯っぽく微笑んだ。
「そうね。そうしたら、手ぐらいは握ってあげても良いわ。」
お知らせ その1
12月に今村君がライブに出演します。
Celebration vol.4
~X'mas Special Ver.~
【日時】
12月23日【金.祝前】
22:00~5:00
【場所】
天理@BRIDGE
奈良県天理市嘉幡(カバタ)町272-1
0743-64-3636
【料金】
前売り2500【1D別】
当日 3500【1D別】
【SPECIAL GUEST】
twenty4-7
SAY
【DJ】
FAKE
K-SWAT
LOCO
HARU
MARINA
DAISUKE
【LIVE】
Young Yazzy
大地from.NO LINE
STEELO
MARY BETTY
SAORi
RIE
【Celebration Girls】
前売りチケット取扱【問い合わせ】
天理CLUB BRIDGE
0743-64-3636
お知らせ その2
漂白ライターの絹川ありさ女史のブログ「三鷹と月と神社」がアメブロ掲載一周年になります。この機会に、是非「ありブロ」を体験して下さい



