あの頃と何が変わったのか?:阪神大震災
15年も前のことだから、世の中はずいぶん変わったと思う。
たくさん変わったことはあるだろうが、、、
今回は、建設ITカウンセラーとして、
「IT(情報技術)」
に着目して振り返ってみようと思う。
被災地の調査のため、現地に入ったわけだが、
当時を振り返ると、それは今の状況とは全く違ったわけだ。
例えば、、、
■デジカメなんてものはまだ無くて、フィルムカメラだった。
デジカメのように、撮った写真をいつでも見られるわけじゃない。
状況を誰かに伝えるために、写真を撮っているのに、
どんなに早くても、写真をみるのに、数時間はかかった。
前回のブログにも書いたが、当時は神戸から大阪のカメラ屋さんまで
フィルムを持って行って、現像したものをまた神戸に持ち帰るなんて状況だった。
■ケータイ電話なんて、個人が持ってなかった。
ケータイ電話なんて、もちろんなかった。
あるにはあったけど、個人で持ってるなんて人は周りにはいなかった。
その頃は、公衆電話を使うのが一般的だったが、
被災地では電話回線が通じてなかったので、電話連絡さえつかなかった。
あの時は、街中に緊急電話所みたいなのが設置されて
みんなで並んで使ってた記憶がある。
レンタルのケータイ電話ってサービスがあって、それを会社で借りてもらったが
あまりの電話代の高さに使うのを躊躇したくらいだった(恥)。
■パソコンも今みたいに、ひとり一台なんてことはない。
個人はおろか、会社の中でも数台しかないパソコンを
皆で奪い合って?、構造計算とかしてた時代。
もちろん、ノートパソコンなんてものはなく(めちゃめちゃ高くて重かった)、
現地にパソコンを持っていくなんてことは不可能。
外付けのハードディスクも40MBでン十万もして、買ってもらえなかった。
(40GBじゃないよ、40MBだよ。フロッピー40枚分!!)
■インターネットなんて、まだほとんど普及していなかった。
この頃は、パソコン通信が主流だった時代。
新しい情報は、NiftyServeというパソコン通信でせっせと集めてた。
(これはもうちょっと後の時代かも???)
検索エンジンみたいなのはあったけど、検索しても大した情報がなかったから、
誰も使わなくなっていった。
(この頃にホームページに可能性を見出せた人が今、大活躍してるわけで・・・)
こんな時代である。
今思えば、こんな状況でよく現地調査なんて出来たものだとさえ想う。
しかし、、、である。
ここで、ちょっと考えてみたい。
デジカメもある。ケータイもある。GPSも誰でも使えるようになった。
モバイルパソコンもあって、プリンタもプロジェクタもある。
ブログやら、Twitterやら、情報を発信する手段もある。
通信も、PHS回線やら、WiFiやら、WiMAXやら、どれかは使えるだろう。
今思えば、そんな恵まれた環境で、、、
もしも今、阪神大震災と同じ規模の災害が起こったとしたら、
災害復旧や情報収集は、あの時より上手く出来るようになっているだろうか?
個人による情報発信は、間違いなく増えるだろうが、
これらを集めて、復旧支援に使えるような情報として、有効に活用できるだろうか?
情報も増え、技術も進展したわけだが、、、
個人的には、当時より復旧支援が円滑に行えるように変わったとは、どうも感じない。。。
おそらくこれは、IT化も進んで、いろんなシステムも導入されただろうが、
それを使う「人」が進化してないんじゃないだろうか?って想う。
むしろ周りの環境が進化したことによって、自分も進化してる、成長してるって
勘違いさせられてるような気もする。
実は、周りはどんどん変わってるけど、自分は何も変わってないんじゃないの?って。
最後に意思決定をするのは、「人」であることは忘れちゃいけない。
阪神大震災を思い出してみて、そんなことを改めて考えてしまった。
これってまるで、iPhone使ってるってだけで、
使ってない他の誰かより進んでるッ!!って勘違いしてる人みたいで、カッコ悪いですよね(笑)。