火の玉。 | 私的リーガル項

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古いアメ車と暮らす日々。犬のコト、その他諸々を。


「肝っ玉が据わってる」「度胸がある」。


そんな表現が尻尾巻いて逃げ出すような人を知っている。

名前は・・忘れた。





私の父がまだ小さかった頃、近所に有名なオッサンが居たそうな。


ムチャクチャ喧嘩が強くて遊び人、見た目もかなりイケてたらしい

まぁいわゆる「ブイブイ」いわすタイプのそのオッサンが、ある日。


夜道を歩いていると無性にタバコが吸いたくなったんだって。

で、懐をまさぐってみるとマッチが無い。どこ探しても無い。


昔の田舎町で真っ暗な中、どうしようかと思案しながらふと見上げると

「火の玉」がユラユラとすこし先の墓地を目指して飛んでいたんだそうな。

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ソレを見て「おー!ラッキー!あれで火を点けよう♪」

そう思ってそのまま追いかけて真夜中の墓地に入って行ったんだって!


(↑もうその時点でアタマおかしいとしか思えない)


奥へ奥へと飛ぶ火の玉。

全くビビることなく、スタスタ追いかけるオッサン。


幽霊とか物の怪がコワいっていう「人間本来」の感覚ゼロ。

(何なんだ、このヒト・・)


やがて墓地の真ん中に古い小屋が現れ、その窓から中へ

スーッと火の玉が入って行く。続いてオッサン。


ガラッ!


戸を開けるとソコには、その日亡くなった爺さんの遺体と

枕元で寝ずの番をしてた婆ちゃんが。


ギャァァー!


可哀想にその婆ちゃん、あやうく心臓発作を起こしかけたそうな。

そりゃそうだろう、そんなトコにいきなり火の玉と知らない男が入ってくりゃ。


「フン、もうコレでエエわ。火、借りるで」


部屋を灯すロウソクでタバコに火をつけ、オッサンは悠々と帰っていく。

腰が抜けたまま、呆気にとられて見送る婆ちゃん。


火の玉になって飛んでた爺ちゃんもさぞかしイイ迷惑だったろうな。

あやうくマッチ代わりに捕まえられるトコだったもんな。





「人魂」でタバコに火をつけようとしたオトコ。


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今まで色んな武勇伝とか耳にしてきたけど、いまだに

このオッサン以上に度胸ある(?)話を聞いたコトがない。



んじゃまた☆